国土交通省が推進するi-Construction2.0やBIM/CIM原則適用を背景に、設計から施工へのデータ連携の考え方が重要視される中で、オリエンタルコンサルタンツが応用技術と共同開発した「土工部ICT施工データ変換システム」(eMS)に注目が集まっている。設計段階のBIM/CIMデータをICT建機用データに変換できるeMSの導入効果とは何か。両社の目線の先を追った。
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「BIM/CIMの本質を捉えたシステムを完成することができた」。オリエンタルコンサルタンツ中部支社の水野耕治副支社長兼道路整備・保全事業部副事業部長はeMSへの手応えを口にする。開発のきっかけは6年前にさかのぼる。現在のニーズを先取りするような相談が大手ゼネコンの現場からグループ会社のエイテック(東京都渋谷区)に寄せられたことが出発点になった。
現場からは、高速道路関連の大型土工工事に対応するため、出来形管理作業の業務一式を依頼され、その中にICT施工用のデータ作成業務があった。「実は当時、他の現場からも同様の依頼が舞い込んでいた。設計のデータを転用できれば、より効率良く業務をこなすことができる。そうした思いが開発につながった」と振り返る。
eMSは、設計段階で作成されたBIM/CIMモデルをICT建機などでそのまま利用できる3次元施工データへと変換・加工するオートデスクの土木設計ソフト「Civil 3D」向けアドインツールとなる。国交省直轄工事を中心に4件の土工工事で実証実験を行い、そこで得た成果を生かして導入マニュアルや操作方法の解説動画を整えたのは、2025年3月のことだ。

実証実験では、施工者がeMSを使い、設計段階で作成されたBIM/CIMデータをICT土工用データに変換した上で、そのデータによるICT建機の施工状況も把握した。eMSの推進役を担う早川典克中部支社道路部副主幹は「実証実験によるeMSのデータ作成時間は、施工者が一からICT建機用のデータを作成する現行の進め方と比べて平均で7割もの時間短縮を確認できた」と強調する。
大幅な時間短縮が実現した背景には、そもそも施工者が設計からの3次元データを活用せず、ICT建機用のデータを作成している状況が根底にある。これは現場条件に応じて段階的な施工を行う場合、中間段階における3次元モデルの作成が必要になるため、設計段階のBIM/CIMデータをそのまま活用しにくい課題も要因の1つだ。
このように現在のICT活用工事では、施工者自らがICT建機用のデータを作成している状況が一般化している。eMSに注目が高まる背景には「設計から施工にデータをつなぐICT施工の生産性向上ツールとして効果を期待できる点がある」と、両氏は口を揃える。
国交省直轄工事ではBIM/CIMの原則適用が4年目に入り、2040年までに建設現場の生産性を1・5倍に向上させるi-Construction2.0のトップランナー施策として「データ連携のオートメーション化」も打ち出された。25年度からは土工、河川浚渫工、港湾浚渫工の3工種でICT施工の原則化が始まり、26年度からは舗装工や地盤改良工にも適用範囲が拡大している。
水野氏は「調査から設計、施工、維持管理へとデータを連携していく流れはさらに強まる。これまでは自社の業務ツールとして10件ほどの業務にeMSを活用してきた。最近は施工者を中心にeMSの活用を求める声が増えていることから、ソフト販売の検討も始めた」と明かす。