FUKABORI

福井コンピュータアーキテクト 
その先にあるCDE構想

 福井コンピュータアーキテクトが精力的に製品の機能強化を推し進めている。3月にクラウドソリューション「ARCHITREND ONE」の新サービスとして「積算オプション」、4月にはBI Mソフト「GLOOBE」に確認申請の新たな制度としてスタートしたBIM確認申請への対応機能をリリースした。それぞれの開発責任者にその狙いを聞いた。その先には住宅系、建築系それぞれのソリューションを統合したCDE(共通データ環境)の構想が見え隠れしている。

澤田さん(左)と森廣さん

 「実は4、5年前から構想していた」。クラウド開発室の森廣誠室長代理は、ARCHITREND ONEの積算オプションについて、そう話し始める。同社の主力3次元CAD「ARCHITREND ZERO」を愛用する住宅業界では、以前から積算について根深い課題があった。その課題解決に向けたサービスとして開発してきたのが積算オプションだった。

 積算における手間の多さや精度の悪さが住宅業界の共通の悩みとして以前からあり、しかも作業が属人化しているために経験者しか対応できない側面もあった。これまではARCHITREND ZEROの中に積算の機能を設け、設計を進めながら一気通貫で積算まで対応できる枠組みを提示していた。設計担当が積算も行う流れの企業には使い勝手が良かったが、ユーザーの中には設計担当と積算担当が異なるケースが少なくなかった。

ARCHITREND ONEに「積算オプション」追加

 積算を行う工務系の担当者にとっては、本来設計ツールであるARCHITREND ZEROを積算するために使わないといけないジレンマがあった。逆に設計担当にとっては積算業務自体が本来の仕事ではない思いがあった。しかも最適な積算を導くためには単価情報などを日々アップデートする必要があり、企業の中では誰が情報を管理していくかなどの枠組みを明確にする必要があった。

 設計担当にとっては本来の図面作成に集中したい。積算担当にとっては設計図面を介さずダイレクトに数量を算出したい。森廣氏は「それぞれの思いを解決する手段としてクラウドプラットフォームのARCHITREND ONE上に情報を格納し、そこにアクセスすることでそれぞれの作業がダイレクトにできる枠組みに行き着いた」と強調する。

 積算担当は、ARCHITREND ONEにアップロードされた間取り図から積算オプションの「建物仕様テンプレート」と「見積テンプレート」を使ってダイレクトに積算に必要な情報を追加できるようになった。平面プランに3次元の建物形状だけを決めておき、2つのテンプレートを使うことで建物仕様ごとの見積もり提示も可能だ。

 設計担当はARCHITREND ZEROで設計し、営業担当などは提案づくりにプレゼンテーションソフト「ARCHITREND Modelio」を使う。「この2つを組み合わせて使っているユーザーは多く、積算オプションにはリリース直後から多くの反響をもらっている」と明かす。

GLOOBEに申請支援機能

 「無事に間に合わせることができた」と、BIM商品開発室の澤田顕徳室長は振り返る。4月からのBIM図面審査の開始に合わせ、同社がGLOOBE向けに申請支援機能のアップデートを始めたのは4月8日のことだ。国がBIM確認申請の最終的な枠組みを公表した2月末から急ピッチで機能の最終調整を進めてきた。

 BIM図面審査では、BIMモデルから出力したIFCデータと図面の整合性を担保する枠組みとして「入出力基準適合誓約書」の提出を義務付けており、誓約書ではデータがどの項目に当てはまるかを示すチェックリストの提出が求められている。そのチェックリストの自動的に作成する申請支援機能をGLOOBEの中に登載した。

 澤田氏は「最終の調整作業はとてもタイトなスケジュールで進めてきた。法規に沿って自動判定の仕様的な判断を入れ込むことが必要だったことから、その判定部分をどうロジックに落とし込むかも含めて対応に追われた。設計者が申請する際、チェックの根拠も把握できるようにドキュメントの提示機能も用意した」と強調する。

 BIMライブラリ技術研究組合(BLCA)が公開するサンプルモデルで計測した結果、手動では4時間かかったチェックリストの作成時間はワンタッチで完了できる効果も確認した。「実はBIM図面審査だけをフォーカスしたものではない。通常の確認申請でも同じようにチェックリストの作成が求められ、そこにも対応しているため、BIM図面審査はまだ先と考えている設計者にもぜひ活用してもらいたい」と付け加える。

ARCHITREND ONEを軸にオールインワンプラットフォーム構築

 同社は2025年度から3カ年計画として、ARCHITREND ONEを軸に自社製品のデータを統合管理するオールインワンプラットフォームの構築に乗り出している。2024年12月から提供を始めたARCHITREND ONEは、同社のCDEプラットフォームとして注目されてきた。すでにARCHITREND ONEではARCHITREND ZEROとARCHITREND Modelioの連携環境を整えており、主要機能は3月にリリースした積算オプション関連も含め12項目にも達する。

 「実は、開発部門が連携して定期的な協議を進めている」と、両氏が声を揃えるように、クラウド開発、BIM商品開発、住宅商品開発の3室が中心になり、オールインワンプラットフォームの確立が着々と進行している。ARCHITREND ONEは現在、ARCHITREND ZEROとARCHITREND Modelioのユーザーを中心に約100社が活用している。GLOOBEとの連携はまだ具体的な枠組みが固まっていないが、住宅系と建築系のそれぞれ分野に対応できるプラットフォームの枠組みは同業他社にない同社の新たな強みになる。

 澤田氏は「GLOOBEユーザーのCDEに対する関心は高く、ARCHITREND ONEとの連携を心待ちにしているユーザーも少なくない」と明かす。森廣氏は「既にARCHITREND ONEを愛用するユーザーは住宅メーカー、パワービルダー、設計事務所、工務店など幅広く、それぞれの活用方法も多様に広がっている。建築系のGLOOBEユーザーを迎え入れることでARCHITREND ONEのサービスもより充実させていく必要がある」と先を見据えている。同社の開発の目線はすでに27年度に向けられている。

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