BIM図面審査による審査時間の短縮効果は期待できるか。申請者からはそうした思いが広がっている。現時点では図面の整合性確認が一部省略されるほか、電子申請への対応が消防同意でも実現することで消防への郵送期間が短くなる効果はあるものの、審査業務自体の効率化を大幅に実現することは難しい。
国土交通省ではBIM確認申請への対応に合わせ、AIの活用についても審査側に呼び掛けており、いずれAIが審査補助ツールとして機能すれば確認検査業務自体を効率化する後押しになる。日本ERI名古屋支店の原充広審査部次長は「BIMの活用だけでは限界がある。BIMデータとAIはとても相性が良いだけに、その連携が具体化すれば確認業務の合理化に結びつく」と焦点を絞り込む。

2029年春に予定されているBIMデータ審査は、BIMから出力したIFCデータをダイレクトに審査で活用する流れになり、AIを活用した確認検査に展開しやすい。日本ERIの今野渉確認企画部長は「当社としても業務の効率化は重要課題に置いているだけに、将来を見据えてAIへの対応を検討していきたい」と強調する。
竹中工務店の今福良記名古屋支店設計部BIM・VIZグループ長も「BIMデータとAIを連携させることで事前の法規チェックや環境シミュレーションなどの精度も大幅に進化する可能性がある」と期待を持っている。
BIMデータ審査の詳細はまだ固まっていないものの、審査の制度設計はより複雑になることは明かだ。原氏は「まずはBIM図面審査で成功体験を増やしながら申請者と審査者のコミュニケーション基盤をしっかりと構築していくことが重要になる」と考えている。
第一号交付案件を審査した担当は「属性情報の位置づけが企業によって異なることから入力基準が今後どのように統一され、審査としてどのように属性の確認ができるようになっていくのか気になる」と話す。BIMデータ審査では、BIM図面審査以上に「事前相談に費やす時間が増えていく可能性もある」とも見通している。
竹中工務店の目線も既にBIMデータ審査に向けられている。野口元設計本部設計企画部設計企画グループシニアチーフエキスパート申請総括は「中間検査や完了検査の枠組みも大きく変わり、より合理的な検査の枠組みに移り変わることを想定して社内の議論を深めていく」と焦点を絞り込む。荒川暁郎大阪本店設計部申請グループチーフコンサルタントは「能動的にBIMデータを活用できる社内の制度設計を形づくる必要があり、申請者と審査者の双方がメリットを見いだせる枠組みをともに作り上げていくことが重要だ」と強調する。

BIM図面審査を活用して確認済証を交付されたプロジェクトは、まだ全国でも数えるほどしかない。第一号交付案件に携わった関係者からは「BIMをいかに確認申請のメリットに変えていくか」という前向きな意識があった。3年後に控えるBIMデータ審査が本番だとすれば、BIM図面審査は助走期間となる。成功体験の蓄積が大きな流れになり、それが制度としての強みに変わっていく。先をしっかりと見据え、新たな一歩を踏み出すことこそが、BIMデータ審査に続く近道であることは間違いない。(おわり)