建築確認の新たな制度としてBIM図面審査がスタートして一週間後の4月7日に第1号案件の確認済証が交付された。申請した竹中工務店と審査した日本ERIの担当からは「最初から狙っていた訳ではなく、うまくタイミングがあった」との声が聞こえてくる。先陣を切った両者は、どのような意識で取り組んできたか。BIM図面審査を活用した申請の動きが徐々に広がりを見せる中で、注目された第1号交付の舞台裏に迫った。

BIM図面審査の第1号交付を受けたのは、明治安田生命が静岡県掛川市内に計画している事務所ビル「掛川営業部事務所」となった。規模はS造2階建て延べ約1000㎡。設計と施工を担う竹中工務店名古屋支店が、日本ERI名古屋支店に建築確認図面一式を電子申請システムから提出したのは2026年2月16日のことだ。竹中工務店名古屋支店の吉岡亜希子設計部設計第2部門設計3グループ主任は「提出する半年ほど前から相談はしていたが、その頃からBIM図面審査を意識していたわけではなく、あくまでも着工時期に合わせるための事前相談だった」と振り返る。
BIM図面審査は、建築行政情報センター(ICBA)が運営する確認申請用CDE(共通データ環境)「ArchSync」の中で、BIMデータから描き出されたPDF図面を審査し、提出されたIFCデータを活用しながら指摘事項の確認や修正などを行うが、竹中工務店が確認書類一式を提出した2月はまだ確認申請用CDEの運用前だった。ArchSyncが開設されるのを待ってBIM図面審査の要件に沿ってPDF図面、IFCデータ、入出力基準適合誓約書の3点セットをアップロードする形で3月27日に再提出した。

竹中工務店では、BIM図面審査への対応を見据え、25年10月に社内の設計モデル・データ作成ガイドラインを改訂し、翌11月には全国の設計グループ長約70人に向けた説明会を実施するなど、BIM図面審査への準備を念入りに進めてきた。名古屋支店の今福良記設計部BIM・VIZグループ長は「既に一定規模以上はすべてBIMで設計している。BIM図面審査を活用するか否かよりも、当初からBIMデータから出力した図面で提出することは決めていた。うまくタイミングがあった」と考えている。
実は、電子申請した2月の時点はArchSyncの運用前だったこともあり、BIMデータ検証ソフト「Solibri」のデータも提出していた。大阪本店の荒川暁郎設計部申請グループチーフコンサルタントは「事前にSolibriを使ってIFCデータによる形状確認をしてもらうことができた。日本ERI側に対応できる担当者がいたことが、第一号交付に結びつく要因の1つだった」と明かす。
ArchSyncに3点セットを再提出した5日後の3月31日に日本ERIによる事前審査が終了し、BIM図面審査制度がスタートした4月1日のタイミングで本受付として受理され、消防同意を経て4月7日に確認済証が交付された。竹中工務店の野口元設計本部設計企画部設計企画グループシニアチーフエキスパート申請総括は「国が制度開始に向けて25年11月に審査マニュアルなどの事前公表版を公開したことで、われわれ申請者側が前もって円滑な準備ができたことも、第1号交付を受ける後押しとなった」と強調する。
連載 BIM図面審査 第一号交付の舞台裏 (1)
