連載 BIM図面審査 第1号交付の舞台裏(4)

竹中工務店×日本ERI 
BIM一貫活用がプロジェクト全体の効率化へ

 竹中工務店では、2026年度に約25件のプロジェクトでBIM図面審査を活用する計画を立てている。全国で進行中のプロジェクトを洗い出し、ヒアリングしながら対象案件を絞ってきた。名古屋支店で第一号案件を含む3件を対象にしているように、他の支店も明確なターゲットを決め、BIM図面審査に向けて本格的な取り組みを始めている。

BIM図面審査で確認済証第一号交付を受けた明治安田生命の事務所ビル「掛川営業部事務所」

 野口元設計本部設計企画部設計企画グループシニアチーフエンジニア申請総括は「第一号案件を通して名古屋支店がつかんだ感触を他の支店も水平展開していくことがわれわれの役割になる」と強調する。各本支店で事前相談が動き出すタイミングを見据え、プロジェクト関係者との個別説明会を全社展開していく予定で、設計本部と本支店が二人三脚で取り組むことで、全社的にBIM図面審査の対応力を高める方針だ。

 尾関昭之介設計部技術・品質グループシニアチーフエキスパートは「現在は申請先が電子申請システムから確認申請CDE(共通データ環境)に変わっただけとなり、ArchSyncの操作を覚えないといけない点で負担が増えてしまうが、構造計算適合性判定や消防同意も一緒にCDE上で完結できるなら、その分の負担軽減にはなっていくだろう」と考えている。

 プロジェクト特性や使い勝手など条件に応じて最適なソフトウエアを選択するopenBIMを志向する竹中工務店だが、名古屋支店ではBIMソフト「Archicad」を主体的に活用しており、第一号案件もArchicadモデルから図面を出力した。

 名古屋支店の今福良記設計部BIM・VIZグループ長は「BIM推進の立場からすれば建築生産を通じてBIMそもそものメリットを考える際、確認申請の部分だけBIMから切り離して対応すること自体が非効率であり、一貫してBIMデータを使っていくことがプロジェクト全体の効率化につながる」と思いを込める。

建築生産におけるBIMデータの流れ(出展:国土交通省)

 BIM図面審査に対しては、ソフトベンダー側も準備を進めてきた。Archicadを提供するグラフィソフトジャパンの飯田貴カスタマーサクセスシニアディレクターは「4月からの制度開始を機にBIM図面審査関連のシステム的な問い合わせが増えてはいるが、ユーザーには特別なことをやる必要はないとアドバイスしている。BIM図面審査における入出力基準に準じたトレーニング動画の配信もスタートしており、ベンダーとしてこれからもBIM図面審査への理解を促していく」と説明する。

 今秋にリリース予定のArchicad最新版には、ALVS(A=室面積、L=採光面積、V=自然換気面積、S=自然排煙面積)などを自動で計算する仕掛けなど、BIM図面審査を意識した関連機能を強化する計画で「ArchicadユーザーがBIM図面審査に少しでも取り組みやすいように下支えしていく」と強調する。

 飯田氏の目線の先には、2029年春からスタートするBIMデータ審査がある。「必要な情報をいかに効率的に集約できるか。これから3年間でBIM図面審査のユーザー事例をフィードバックしながらArchicadも進化していく」と思いを込める。第一号案件に携わった竹中工務店や日本ERIの担当者も同様だ。「データ審査までいかないとBIM確認申請のメリットを最大限に引き出すことはできない」。これは申請者、審査者の共通する思いでもある。

連載 BIM図面審査 第1号交付の舞台裏 ()()()()(

記事トレンド把握のため、気軽に押して下さい

トップに戻る