特集 step up BIM 番外編

BIM Classesは、きっかけづくりの場 
講師7人の共通するメッセージとは

 BIMを学び始めた学生、BIMに挑む実務者、そしてBIMへの再挑戦を誓う設計者たち。さまざまな思いを抱きながらBIMと向き合おうとしている。グラフィソフトジャパンが主催するオンラインBIM教育プログラム「BIM Classes」の講師たちも同じようにBIMとの出会いがあり、悩みながらも一歩ずつBIMを自分のものにしてきた。特集「step up BIM」では講師7人の思いを通して、BIMとの向き合い方を探った。最終回は、番外編として7人の講師が語ったメッセージを振り返る。

 取材では「楽しむ」ことの重要性を説く講師のメッセージが相次いだ。「Archicadを好きになることから始めよう」という木島裕太郎さん(リン・アンド・リンパートナーズ)の言葉に象徴されるように、道具となるBIMツールをまず好きになり、自分のものにしていくことが出発点になることは7人の共通する思いだ。

 「あえて100%を目指さないように」とのアドバイスを奈木紀子さん(Atelier-NAGI)が常に心がけているように「立ち止まらず歩み続けること」が成長していく過程で大事なスタンスであることを実感した。福光春子さん(麻生建築&デザイン専門学校)も「地道に経験を積んでいくしかなく、とにかくArchicadに触れ、日々使い続けることが何よりも大事」と教えてくれた。2人が語るように「日々取り組み続ける」地道さが成長への近道であることは間違いなさそうだ。

 講師たちは、学生と実務者によって教える内容やポイントを明確に使い分けている。学生には「設計そのものを学ぶこと、課題で自分の思い描いたデザインを表現して他者に伝え、批評を受けること」の重要性を大切にしている山上健さん(山上建築設計)だが、実務者には「ツールの機能や設定の仕方を知るだけで、作業がとても楽にできることが意外に多い」ことからも徹底してArchicadの機能を教え込むようにしている。

 BIMの考え方やArchcadの仕組みを理解することの重要視を説く講師も多かった。「全体のワークフローやその仕組みをきちんと理解していないと迷子になってしまう。ひとつひとつの設定や機能がどこに、どうつながっているか。その関連性を理解することから始まる」という小川裕香さん(小川裕香建築設計事務所)のアドバイスは印象に残った1つのメッセージだった。

 「根底の理解が深まると、BIMとの向き合い方は大きく変わってくる」という三戸景さん(MITO architecture + design)がこだわる「BIMが設計情報を管理し伝達する手法であるという根本的な理解を深めること」はとても説得力があり、特にこれからBIMに挑戦する実務者にとっては参考にしてほしい教訓だと強く感じた。

 事務所の所長に言われ、手書きからいきなりArchicadを取り組んだ経験を話してくれた新貴美子さん(ATELIER NEWS)が「私一人だけなら挫折していた」と振り返るように「仲間と一緒に取り組む」ことは学生や実務者に限らず、切磋琢磨する点でも学ぶ場の環境づくりとしてとても重要な視点であると気付かされた。

 講師たち自身も最初はBIMの未経験者であり、悩みながら成長してきた。取材ではそうしたそれぞれの原風景を振り返ってもらい、講師としての心構えをインタビューをまとめてきた。

 木島さんは学生に教える際、「思考の部分」を大切にしている。あえてArchicadの機能を限定して使わせ、建築模型レベルの表現にとどめさせる。「自分の思い描いたプランをすぐに描けることが重要であり、それによってアイデアを形にする楽しさが芽生えてくる」と、設計者としての素養を磨く中でBIMと対峙させる教え方を重要視している。

 「私自身が小さな壁にいっぱいぶつかってきた」という奈木さんは、テキストでは触れていない操作上の細かな調整箇所も含めて「このくらいのことは誰でも当然知っているだろうという見方をせず、できるだけ奥深いところまで丁寧に伝えるようにしている」と常に受講者目線を大切にしている。

 設計者の中には「図面作成」につまずくケースが少なくない状況を察して、小川さんは「全体を俯瞰的に見ることがとても大切で、一つの操作がどう関連付いているかをきちんと把握していくだけで、図面作成や情報管理への理解も進むと思う」とわかりやすくアドバイスをしてくれた。

 テンプレートの重要性を強調する講師も相次いだ。福光さんはプロジェクトチームの一員として設計活動に参加する中で「モデルから図面へと落とし込む作業の大変さ」を実感しており、その教訓として「テンプレートをきちんと整えておく」ことの重要性をメッセージとして託した。

 「段階的に目標を決めながら、一歩ずつ順を追って前に進むことで、ベースとなるテンプレートも成長していく」という新さんは、BIMの経験値を積み重ねることで「常に自分自身もアップデートしてほしい。テンプレートには設計者の色が出る。ぜひ他の人たちがどんな風に表現をしているかを知ることも大事」と強調した。

 設計事務所へのBIMコンサルを進める中で「オリジナルテンプレート」を確立している三戸さんのアドバイスは「設計情報を管理する視点からBIMを捉え、そのためにはBIMツールに信頼できる情報形成のための枠組みを備えることが不可欠になる。それがテンプレートの構築により実現できる」と、とても明快だった。

 7人へのインタビューを通し、特に象徴的だったのは「きっかけを与え、後押しすることが僕ら講師陣の役割」という山上さんの一言だった。他の講師もまさに受講生への「きっかけづくり」をそれぞれの視点からアドバイスしている。「手書きで図面を描いている頃からの符号が今の私のコード進行になった。これが最適という訳ではなく、大切なのは自身に馴染みやすい表現を使うこと」と新さんが伝えるように、受講者自身がBIMの向き合い方を考え、実戦する。

 講師たちは常に自主性を重んじるstep up BIMを軸に対話している。まさにBIM Classesがきっかけづくりの場であると取材を通して強く感じた。

特集 step up BIM

(1)「 Archicadを好きになろう 」木島 裕太郎さん

(2)「 過程を大切に少しずつ先に進もう 」奈木 紀子さん

(3)「Archicadの強みを引き出そう」小川 裕香さん

(4)「支え合える仲間と一緒に前へ進もう」新 貴美子さん

(5)「踏み出すためのきっかけを与えよう」山上 健さん

(6)「Archicadを触り続けよう」福光 春子さん

(7)「情報を伝えることの意味から考えよう」三戸 景さん

(8)「BIM Classesは、きっかけづくりの場」番外編


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