「BIM図面審査の第1号交付は名誉なことであり、国の取り組みに対して先陣を切って対応できたことは担当者の励みになる。これまでBIMへの対応に力を注いできたこともあり、支店としても今後に向けた自信にもなる」。日本ERI名古屋支店の河端快行支店長は、そう手応えを口にする。

全国33拠点で確認審査業務を展開する日本ERIでは、社を挙げてBIM図面審査への対応準備を進めてきた。今野渉確認企画部長は「10年以上前から電子申請への対応に切り替え、画面上で審査する環境には既に社として慣れている。確認申請用CDEを使った審査への抵抗感が制度スタート時からなかったことも、第一号交付に結びつく後押しになったのではないか」と考えている。
4月7日付で名古屋支店が第1号となる確認済証を交付した翌8日にも、新たな済証を交付した日本ERIでは現時点でBIM図面審査による確認済証を6件交付している。確認申請用CDEサービス「ArchSync」上に立ち上げたプロジェクトは交付済みも含め20件を超える。「当初はもう少し控えめな数字になるのではないかと予想していたが、順調な立ち上がりを見せている」と強調する。
2月に建築行政情報センター(ICBA)が開いたオンラインのArchSync審査機関向けトレーニングには、アーカイブ動画での対応も含め、全国の審査担当約600人のすべてが受講済み。万全の体制で制度開始に備えてきただけに、第1号交付は社内でも大きなインパクトとなった。
名古屋支店の原充広確認部次長は、竹中工務店の申請がBIMソフト「Archicad」を使って設計していることを聞いていたことから「実は事前相談が始まった時点で、ちょうどBIM図面審査のスタートと一致するのではないか」との感触を得ていた。「最初から狙っていたわけではないが、タイミングがあった」と思いを明かす。

制度がスタートして一週間後の4月7日に済証を交付できた要因の一つは、BIM図面審査の受け皿となるArchSyncのリリース前から、BIMデータ検証ソフト「Solibri」を使って「図面類の事前チェックを進めることができた」点が大きかった。同社はBIM導入に舵を切る大手・準大手クラスのゼネコンや組織設計事務所からBIMを活用した申請相談に以前から対応してきた。本社が軸になり、Solibriを使った事前チェックも実績を積んできた。名古屋支店も3年前から支店内で対応できる体制を確保していたことが、第一号案件への後押しになった。
これまでBIMを使った審査の試行事例は1000件規模にも達しており、全国の各支店はそれぞれで地道にBIM対応のノウハウを蓄積してきた。名古屋支店の栗田和幸確認部部長も、鹿児島支店で審査担当をしていた2018年に初めてBIMにかかわり、2次元図面を3次元化した審査を経験しただけに「私自身はひそかに第一号交付を狙っていた。支店内にBIMの審査を経験した人材がそろっていたことも、先陣を切って力強い一歩を踏み出せた要因の1つだと思う」と語る。