岩堀建設工業の岩堀悠樹取締役DX推進部部長は、6月5日に開かれた経営方針を示す事業計画発表の場で、グループ会社のリグテック代表取締役として登壇し、今期から取り組む業務フロー改革の目的について、全社員に強く呼び掛けた。「社内の電子データ化を推し進め、より効率的な会社運営を実現していく。蓄積したデータを集約して、そこから情報を出し入れする枠組みを構築しBIMとも連携した新たな情報の流れを形づくっていきたい」

リグテックは、デジタルを通じて建設現場の課題を解決するテック企業として活動している。建設発生土の搬入搬出を2次元コードで一元管理するI-MAPS(アイマップス)など現場起点のDX(デジタルトランスフォーメーション)プロダクトを開発しており、岩堀建設工業の施工現場に幅広く展開中だ。
岩堀取締役は「BIMの導入が着実に進み、次のアクションとして必要になってくるのは蓄積したデータの利活用であり、リグテックが軸になって社内のシステム基盤を整えていく。当社ではまだ紙の文化が根強く残り、それが業務効率を妨げる要因の一つになっている。まず電子データ化を実現し、全てのデータを一元管理することで、より効率的な会社運営を目指す」と先を見据えている。
社内では、営業の業務報告が一元管理されていないため収集した情報を関係者間で共有できていないほか、積算関連も請求や見積もりなどの関連情報が電子化されていないために事業資産としての価値を見いだせない状況もある。「これから1年かけて各部門の主要メンバーに集まってもらい、社内のデジタル化を推し進めるための業務フロー改革に着手する」
事業計画発表会では「今後、情報共有の仕方を大きく変える」ことを社員に向けて呼び掛け、「全ての情報を一元管理するプラットフォームを独自に構築し、われわれの情報資産をきちんと把握、活用できるスキームを確立していく」考えを伝えた。その先には「AI(人工知能)を使って蓄積データをさらに利活用する」狙いがある。

「地域建設業だからこそ、突き詰めた働き方が実現できる。ペーパレススタジオジャパン(PLS)の協力によって当社の強みとなったBIMとのシステム連携も不可欠になる。データをどうつなげていくことが最善であるか。今後もPLSの力を借りることになる」
こうした岩堀取締役の思いを、PLSの勝目高行社長は「DXではデジタル(D)の部分をしっかりと整備することが大切であり、基盤を構築して初めて組織の変革(X)が成立していく。岩堀建設工業の業務フロー改革は地域建設業にとっての参考事例になるだろう」と考えている。
岩堀建設工業が業務フロー改革で大切にしているのは「これまでの業務の仕方を変えず、AIの技術を使ってデジタル化を推し進めること」と岩堀取締役は強調する。新たなアプリケーションを開発し、それに対応してもらうような改革では社員の負担が増してしまう。AIのスキャン技術が高度化している中で「現行の書類を簡単にデジタル化できる仕組みを整え、できるだけ本業に集中できる環境を提供することが大切になる」と自らに課すように語る。
BIMをきっかけに動き出した岩堀建設工業の成長戦略は、会社全体の業務フロー改革へとステージを移そうとしている。勝目氏は「地域建設会社が独自性を持ってデジタルと向き合う時代が到来しようとしている。わが国の商習慣の中で企業それぞれが強みを生かすことがより重要になる中で、まさに岩堀建設工業の改革は当社が推し進める『日本流を極める』先行事例の一つになる」と強調する。
記事は建設通信新聞からの転載です
