国としてのBIMの「導入」は終わり、これからは「データをつなぐ」フェーズだ。
国土交通省が描くロードマップを逆算すると、2029年という期限が浮かび上がる。この年、建築確認申請にIFCデータそのものが審査対象となる「BIMデータ審査」が始まる予定だ。つまり、BIMモデルを作れるだけでは不十分になる。ソフトウェアの壁を超えてデータをやり取りできる「openBIM」への対応が、実務上の前提となる。
ではいま2026年、現場にとって何が変わりつつあるのか。
2026年4月から、建築確認申請に「BIM図面審査」が始まった。BIMソフトで作成した図面データとIFCデータをあわせて提出することで、図面間の整合チェックの一部が省略でき、審査期間の短縮につながる。IFCデータはまだ参考資料扱いだが、次のステップへの移行が始まっている。
2029年には、IFCデータそのものを審査対象とする「BIMデータ審査」へ移行する計画だ。審査に必要な情報が自動表示されるシステムにより、さらなる審査の効率化が図られる。
土木・インフラ分野では、2023年度から小規模を除く全ての公共事業にBIM/CIM原則適用がすでに始まっている。さらに国土交通省は「i-Construction 2.0」として、2040年度までに建設現場のオートメーション化を進め、省人化3割・生産性1.5倍を目標に掲げており、BIM/CIMはその中核に位置づけられている。
ここで問題になるのが「データの品質と互換性」だ。各社でBIMモデルを作ること自体は進んでいる。しかし複数のソフトウェアや企業をまたいでデータを連携させようとすると、フォーマットの違い・属性情報の不整合・品質基準の不統一という壁にぶつかる。
この壁を取り除くための国際標準が「IFC」であり、そのIFCに基づいてデータをオープンにやり取りする考え方が「openBIM」だ。
buildingSMART Internationalが主導するこの国際標準は、欧州を中心にすでに建設業界の基本インフラとなっており、政府調達条件に組み込まれる国も増えている。
日本でも、IFCは建築確認申請ロードマップの中核に位置づけられた。2029年のBIMデータ審査では「IFCデータそのものを審査対象」とする方向が示されており、IFCへの対応は「将来の話」ではなく、今すぐ準備を始めるべき実務課題だ。
自社のBIMデータが確認申請にそのまま使えない、他社・他工程とのデータ連携が滞る、AIや自動化ツールの恩恵を受けられない。こうした状況が、2029年以降、現実のコストとして積み上がる。
一方で、openBIMは特定ソフトウェアの利用と対立して語られることがある。特定のソフトウェアのプラグインの開発などを通して、業務効率化してきた建設会社からすると、自社内におけるデータの標準化は実現できているからである。重要な点は、openBIMと特定ソフトウェアの利用は対立関係にはないということだ。対立ではなく、むしろ相互に価値貢献をしていく立場にある。受発注者や多様なステークホルダーの連携を考えると、データの標準化を特定のプロダクトで語る事は難しい。「なぜopenBIMが重要なのか」という問いへの答えは、ロードマップの終点から逆算すれば明らかだ。
2029年のIFCデータ審査、2040年の建設現場オートメーション化。そこへ向かうための土台が、openBIMとIFCへの対応だ。2029年を見据えると、対応を検討し始めるには今が一つの節目だといえる。
- 参考:国交省「BIM図面審査制度」https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/build/jutakukentiku_house_fr_000238.html
- 参考:国交省「i-Construction 2.0」https://www.mlit.go.jp/tec/content/001741646.pdf