特集 BIM教育と資格(4)

(仮)BIM教育普及推進協議会 
BIM人材の裾野広げるハブに

 (仮称)BIM教育普及推進協議会が設立に向けて動き出した。国土交通省の建築BIM推進会議が人材育成や中小企業のBIM活用促進に向けた新たな部会の母体組織として位置付けた協議会となり、発足に向けた事務局としてBIM教育普及機構(BIMEO)が音頭をとる形で、7月13日に2026年度の初会合が開かれた。協議会はどのような枠組みになるか、その方向性をまとめた。

 冒頭あいさつしたBIMEOの佐野吉彦理事長は「この協議会がBIM人材育成の裾野を広げていくハブとしての役割を担うことができるよう、同じ認識を持って前に進んでいければ」と参加者に呼び掛けた。会合に参加したのは国土交通省を含め約20団体だが、協議会がどのような活動を進めていくかを見定めた上で参加したいという団体もあり、現時点でオブザーバー参加も少なくない。

 4月にBIM図面審査がスタートし、3年後の29年春にはBIMデータ審査を控えている。国にとっては今後3年間でBIMの普及を機動に乗せ、成長戦略として建築分野のDXを推進させる計画を描いている。そのためにはBIM人材の育成が急務となる。

 建築BIM推進会議は、部会1として建築BIM環境整備部会(国土交通省)、部会2としてBIMモデルの形状と属性情報の標準化 検討部会(BIMライブラリ技術研究組合)、部会3としてBIMを活用した建築確認検査の実施検討部会(建築確認におけるBIM活用推進協議会)、部会4としてBIMによる積算の標準化検討部会(日本建築積算協会)、部会5としてBIMの情報共有基盤の整備検討部会(buildingSMART Japan)の5つで構成している。

 今年3月に開かれた第16回の建築BIM推進会議では、人材育成と中小事業者の活用を推進する枠組みとして協議会の立ち上げが新たな部会として位置付けられた。

 会合に出席した国交省住宅局の岡野大志参事官(建築企画担当)付建築デジタル推進官は「建設業界へのBIM普及を促し、建築生産の変革を広げていく中で、建築生産の担い手に求められる人材や能力も変わってくる。建築士に求められる能力や業務のあり方も考えていく必要がある。 いまの時代に合った建築生産を構築する上でも本日の議論を期待している」と語った。

 協議会発足に向けて音頭をとるBIMEOは、BIMの教育・啓蒙に向けて2021年10月に設立し、セミナーや講演会による普及事業や教育プログラム開発、教材の出版など展開する。BIMEOの試算ではBIMユーザーの潜在需要を建設業全体で300万人規模と予測し、このうち6割ほどがBIMに触れたことがあり、残り4割が未導入ユーザーと位置付けている。設計だけでなく、施工や維持管理も含め潜在需要は多岐にわたる。森谷靖彦理事は「あらゆる分野や年代がBIMやDXの恩恵を受けられるように、協議会を皆で連携して作っていきたい」と説明した。

 協議会の枠組みはまだ確定していないが、会合で示された素案によると、各団体が進めるBIM人財育成に向けたコンテンツを集約して幅広く情報発信するプラットフォームを協議会が担う。佐野氏は「BIM人材育成に向けた団体、企業、大学などの取り組みを協議会が集約することで、それぞれのメニューを連携されていくことが肝になる」と強調し、森谷氏は「コンテンツの融通やメニューの統一化を図ることで、BIM教育の基盤を形づくり、最終的には資格や職能にもつなげていくイメージを持っている」と補足した。

 協議会は、BIM人材という点で設計領域だけでなく、施工や維持管理の領域とも幅広い連携を見据え、建設生産プロセスを通じて横断的な人材育成の枠組みを提示しようとしている点で注目される。会合には業界団体に混じり、民間BIM資格の運営組織も参加しており、人材育成を軸に幅広い連携を見据えながら、将来的に資格や職能の部分まで見据えて意見集約を進める見通しだ。

 会合に参加したのは日本建築士会連合会、日本建築士事務所協会連合会、日本建築家協会、日本建築積算協会、日本設備設計事務所協会連合会、全国建設業協会、日本空調衛生工事業協会、日本電設工事業協会、日本ファシリティマネジメント協会、公共建築協会、日本コンストラクション・マネジメント協会、ロングライフビル推進協会、日本建築行政会議、建築行政情報センター、日本建築センター、ベターリビング、buildingSMART Japan、コンピュータ教育振興協会など。

 佐野氏は「BIMの裾野を広げる共有のプラットフォームをつくりる上で、さまざまな意見が出てくるだろう。むしろ皆が同じ考えでなく多様な考えがあってそれを共有し相互理解を図ることが重要であり、BIMの普及によって建設業界がより良くなること思いを一致させ、皆で知恵を出し合える協議会にしたい」と結んだ。

 BIM人材の育成ついては、企業や団体が独自で取り組んでいるだけに、現行の動きをどう集約し、横断的に水平展開できるか。協議会では、中小企業の活用を推進することを重点テーマに置いているだけに、各分野の団体との連携が不可欠になる。協議会は次回、秋に開催する予定。定款を整備し、本格的な活動に歩を進める。

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