BIM×AIが変える建設の未来 第2回

ONESTRUCTIONとは何をしている会社か 
― 鳥取発・建設テックスタートアップの全体像

 建設業界は人手不足や物価高騰など数多くの課題を抱えている。テクノロジーによって、それらの課題を解決し、持続的な産業へと転換していくことが求められているが、注視されてきた技術が、BIMだ。BIMの導入が進む一方、データの連携・活用に課題を抱える現場がまだ多い。その問いに正面から向き合う建設テックスタートアップが、鳥取から動いている。ONESTRUCTIONの事業と、目指す社会の姿を紹介する。

 ONESTRUCTION(ワンストラクション)は、2020年3月に鳥取で設立された建設テック企業だ。ミッションは「建設とテクノロジーの架け橋になる」。

 社名の「ONESTRUCTION」は、「ONE(ひとつ)+CONSTRUCTION(建設)」を組み合わせた造語だ。「異なる立場の人たちが、1つになる力で建設業の課題をテクノロジーの力で解決したい」という思いが込められている。建設会社の方々の最良のパートナーとなることを目指し、建設・IT・AIなど多様なバックグラウンドを持つメンバーで構成されている。

 本社は鳥取にあり、東京・大阪にもオフィスを構える。さらにフルリモートで日本各地・世界各国から勤務するメンバーもおり、場所や時間に縛られない働き方を実践している。組織はプロダクト本部・事業本部・横断本部の3本部、合計9つのユニットで構成されている。

 創業者は、鳥取大学在学中に出会った西岡大穂と宮内芳維の2名。設立後も2人は経営を続けながら一度会社員の道を選ぶというルートを歩んだ。西岡は新卒でリクルートに、宮内は橋梁設計の専門家としてアサヒコンサルタントに入社。「日中は会社で働き、夜中や休日はほぼすべてONESTRUCTIONの仕事にあてていた」(西岡)。その後それぞれが会社員として経験を積み、宮内は2022年に、西岡は2024年から経営に専念している。

 ONESTRUCTIONは現在、建設業の「AI Ready・AI Powered」を実現するために3つのソリューションを開発・提供している。

① OpenAEC ― BIMデータの品質管理ソフトウェア

建設業の国際標準規格「openBIM®」に準拠したBIMデータの品質管理ツール。IFC・IDS・bSDDといった国際標準に基づき、設計・施工・維持管理の各工程でデータを正確につなぐ。すでに世界54カ国以上で導入されている。2024年インフラDX大賞スタートアップ奨励賞受賞。

② Ishigaki ― 建設業特化のAI基盤モデル

建設データを学習させた、建設業界専用のAI基盤モデル。経済産業省・NEDOの「GENIAC」プロジェクトに2期連続で採択されており、建設特化型の生成AIとして開発が進む。

③ Contex ― 建設データの資産化AIソフトウェア(2026年リリース予定)

 蓄積された建設データを活用可能な資産へと変換する次世代ツール。顧客との対話の中から生まれたプロダクトで、現在リリースに向けた最終開発段階にある。

2026年1月、ONESTRUCTIONは「セオリー・オブ・チェンジ(Theory of Change)」を策定・公開した。売上や技術力だけでなく「どのような社会的価値を生み出しているか」を可視化するためのフレームワークだ。

 ToCは建設・テクノロジー・ローカル&グローバルの3つの柱で構成されている。

 建設の柱: 人手不足や工期遅延など建設業が抱える課題を解決し、社会インフラを未来につなぐ。高度な技術習得を必要とせずBIM導入を後押しするプロダクトの開発・提供を続けることで、労働環境の改善や人手不足の解消に寄与することを目指す。 

 テクノロジーの柱: BIMデータがつながることで、建設以外の社会課題解決も加速できると考え、データの標準化・オープン化を推進する。

 ローカル&グローバルの柱: 創業の地・鳥取に本社を置き続ける意味を明確にした。「世界中どこでも働ける会社」となることで、地方に住みながらスタートアップで挑戦できる選択肢を社会に増やすという姿勢をToCに込めている。

 ToCの作成は、会社として社会をどのように変革していきたいかを体系的にまとめるチャレンジであった。「作るプロセスそのものが組織に変化をもたらす」と振り返るように、完成したToCはメンバーが「自分の仕事がどの変化につながっているか」を考えるきっかけともなった。

 鳥取発の建設テックスタートアップが、国際標準・AI・社会インパクトという3つの軸で建設業の変革に挑んでいる。「建設とテクノロジーの架け橋になる」というミッションは、プロダクト開発にとどまらず、地域・社会・グローバルへと広がりを持ちはじめている。

連載 BIM×AIが変える建設の未来 第1回 第2回

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