JR東日本スタートアップは、生成AIとの対話でBIMモデルを作成できるクラウドサービスを開発するACIMUS(東京都千代田区、菊池 光貴代表取締役CEO )と資本業務提携を結んだ。JR東日本グループが保有する駅舎などの既存建物のBIM化を進めることが狙い。既存図面を基にしたBIMモデル作成の負担を軽減し、建物の維持管理の効率化・高度化を目指す。

JR東日本は約1,680棟の駅舎を保有し、関連施設を含めると建物数は約2万4,000棟に上る。これらの施設の維持管理にBIMを活用するには既存の図面などから建物の3次元モデルを作成する必要があるが、従来の手作業では小規模な駅舎1棟でもモデル作成に約95~100時間を要しており、多数の建物にBIMを導入するうえで作成時間の短縮が課題となっていた。
ACIMUSが提供するクラウドサービス「ACIMUS」は、Webブラウザ上で生成AIと対話しながらBIMモデルを作成・編集できる。専門的なBIMソフトウェアの操作経験がない担当者でも、日常的に使う言葉で指示を出してモデルを作成できる点が特徴だ。作成したモデルは既存のBIMソフトウェアに引き継ぐこともできる。

両社は、JR東日本スタートアッププログラムを通じ、既存の駅舎図面である財産図を基に、維持管理に用いる簡易BIMモデルを作成する実証実験を実施してきた。その結果、1駅舎当たりのモデル作成時間を大幅に削減できる可能性を確認した。今後は実証で得られた成果を基に、ほかの駅舎への適用に向けた検証を進める。
今回の提携は、BIMを新築建物の設計・施工段階だけでなく、既存建物の維持管理へ広げる取り組みでもある。JR東日本グループが保有する多数の施設を対象に、既存図面からモデルを作成する工程の効率化を図ることで、建物情報をデジタル化し、管理業務に活用する基盤づくりを進める。
資金面はLink Capitalをリード投資家とし、インキュベイトファンド、JR東日本スタートアップ株式会社を引受先とする第三者割当増資となり、ACIMUSはシードラウンドで総額約6,500万円の資金を調達した。菊池代表は「ACIMUSは言葉で話しかけるだけでBIMモデルを作り、建物に関わるすべての人がBIMを検討と管理に使える状態をつくる。当社自身も開発から日々の運営までAIを組み込み、少人数で速く動ける会社の形を実践している。AIを前提とした少人数のチームで日本発で世界に通じる建設DXの基盤をつくっていきたい」としている。
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BIMedia目線ーー既存建物のBIM化では建物ごとに図面の形式や情報量が異なるうえ、モデル作成に多くの時間を要することが普及の壁だった。今回の取り組みは生成AIとの対話を通じてモデル作成の操作負担を下げ、既存施設へのBIM導入を広げようとするものだが、維持管理にBIMを活用するには3次元形状を作成するだけでは十分ではない。設備情報や部材の属性、修繕・点検履歴など、管理業務に必要な情報をどこまでモデルに反映し、継続的に更新できるかが重要となる。資本業務提携によってACIMUSがさらなる業容拡大へと踏み切る点でも見逃せない動きといえる。
