BIM未来図 船場(中)

内装BIMの3C戦略が重点施策 
顧客の先を照らす存在へ

 「BIM Level 5(BIMレベル5)」から逆算したBIM経営にかじを切った船場では、BIMデータ活用に向けた独自の『3C戦略』を掲げ、社を挙げて取り組む重点施策として位置付けている。

BIMを活用したサラベスBASEGATE横浜関内店

 BIMの3C戦略とは、BIM×AIの先端を研究する「コンテンツ(Contents)」、BIMを社内と社外に実践する「コマース(Commerce)」、内装業界におけるBIMナンバーワンブランドを世界に発信する「コミュニケーション(Communication)」の三つを指す。

 「これは船場BIMの付加価値を高めるための戦略テーマになる」と語る小田切潤社長には、長年培ってきた内装業としての「一歩先の付加価値を顧客に提案するためには三歩先を予見し、理解しておく必要がある」との思いがある。「われわれが顧客の先をきちんと照らす存在にならなければいけない。まさに3C戦略は内装業界で先陣を切ってBIMに取り組んできた当社の強みを最大限に生かすための戦略に他ならない」

 BIMの導入数は、既に年間200件ものプロジェクトに達する。BIM CONNECT本部長の神戸暁上席執行役員は「新規顧客への提案で見れば、ほぼ全ての案件でBIMを活用しており、顧客との接点としてBIMが効果を発揮している」と手応えを口にする。これまで商業領域を得意分野としていた同社だが、近年はオフィスやホテル、病院などの領域の割合を着実に高めており、それをBIM提案が下支えしている。

 同社がBIMに取り組み始めたのは2019年からだ。設計職の8割がBIM教育を受講したように着実に体制を整えてきた。24年からは内装業界の設計や施工に携わる企業に加え、建材や家具メーカーなど25社とBIMを軸にした情報交換にも積極的に取り組み、この2年間で40回以上を数える。

 その推進役として奮闘してきたBIM CONNECT本部の大倉佑介戦略企画部部長は「BIM導入にかじを切る企業が徐々に増え始めている。その流れが広がることで内装業界自体が変わるきっかけにもなる。当社が独自で確立してきた教育体系を社外にも発信することで業界のBIM推進を後押ししていく」と力を込める。

自社の知見を業界に還元する内装BIM教育サービス

 同社は共通データ環境(CDE)の構築とBIM業務プロセス改革を目的として、25年8月に米国オートデスクと結んだ戦略的提携(MOU)の中で、内装BIM教育サービスの社外展開を打ち出した。自社内で蓄積してきたBIMの知見を社内にとどめることなく、業界全体に還元することが内装分野でのBIM活用の促進につながるとの考えからだ。

 小田切氏は「教育サービスの事業化によって当社のBIMブランドにも好影響を及ぼす。3C戦略で掲げる重点テーマはBIMを確固たる強みに変える施策であり、オートデスクとの連携によって形づくられるスキームとなっている」と強調する。神戸氏は「他の産業に比べて内装業はイノベーションを起こしにくい業界体質を抱えているだけに、BIMを通じて新たな内装業の在り方を提示していきたい」との考えを示す。

 日々進化するAI(人工知能)をいかにBIMと連携させ、競争力のある空間提案に結び付けることができるか。それは、到達点として描くBIMレベル5に向かうための最重要テーマでもある。同社のBIM経営は明確な狙いと目的を持って動き出した。

記事は建設通信新聞からの転載です

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