連載 BIM/CIM未来図 NEXCO中日本(中)

CDEプラットフォームにForma 
利用者の65%が業務効率を実感

 2025年7月にBIM/CIM全面適用に乗り出したNEXCO中日本では、同年8月と11月に受発注者双方に向けた意識調査を実施した。全面適用に際して情報共有の受け皿にはCDE(共通データ環境)プラットフォームとしてオートデスクの「Forma」を導入している。その活用状況がどう推移しているかは今後のBIM/CIM推進に向けた貴重な指標になるだけに、社内では期待を持って見守っていた。

 全面適用によって新規で発注する工事や調査などの業務はCDEの活用が前提になるが、既に進行中の工事や調査は受発注者間協議でCDEの利活用を決める扱いになった。同年8月のCDE利用率は338件中132件(工事103件、調査29件)の39%、11月は486件中210件(工事160件、調査50件)の43%となり、利用率は4ポイント増加した。

 進行中の案件では「従来のやり方でも支障がない」「業務上の必要性を感じていない」などの理由から、CDEの活用を見送るケースも少なくなかった。これまで受発注者は電子メールや電話で情報を共有してきただけに、これからはそれをCDE上で行うことへの不安があった。一方で3次元モデルなどの大容量ファイルはメールでのやり取りが難しく、ファイル転送サービスなどの方法を活用せざるを得なかったため、CDE上にアップロードするだけで送付できるメリットを感じている傾向も浮き彫りになった。

 石田篤徳技術本部環境・技術企画部技術企画課専門副主幹(インフラDX担当)は「BIM/CIMの全面適用から9カ月余りが経過し、CDEには着実に情報が積み上がっている。実はCDE利用者の65%から業務が効率化できているとの声があり、BIM/CIM推進役のわれわれとしても一定の感触を得ている」と説明する。

 情報共有における時間削減効果も見え始めている。情報共有の時間を比較検証したところ、1週間当たりではCDEの利用者が198分であったのに対し、非利用者は270分となり、27%もの時間削減を実現した。データ検索時間も利用者162分に対し非利用者は207分となり、22%の削減効果が浮き彫りになった。「BIM/CIM全面適用に向けて、社内研修に力を注いできた効果も後押ししている」と付け加える。

 社内研修には20年度から取り組んでおり、3次元モデル作成要領の策定など基準類の拡充に合わせて、研修テーマを明確に定めながら実践での活用を意識してきた。24年度からはCDEの活用を積極的に進めていくためにも、CDE利活用中心の研修メニューに切り替えた。

 25年度は計3回の研修を実施し、受講者は総勢100人にも達した。これまでに技術系社員の4分の1が受講済み。組織として着実にBIM/CIM対応のスキルを身に付けている。全面適用の前には支社や事務所を対象にした説明会も実施してきた背景には「発注者側が率先してCDEを使いこなし、受注者を先導する流れを整えたい」との思いもあった。

 受注者と直接やり取りする担当者だけでなく、マネジメント層にもCDE活用を促す手段として「CDE上に集約したデータの状況をリアルタイムにシミュレーションできるBI(ビジネスインテリジェンス)ツールのような見せ方も実現できれば」と、石田氏は先を見据えている。CDEを組織横断で利活用することが業務の効率化、高度化、省人化を実現し、最終的に高速道路事業における生産性向上へとつながる近道であるからだ。

この記事は建設通信新聞からの転載です

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