丸亀製麺などを展開するトリドールホールディングスが、店舗開発の高度化を目的にBIMを導入する。トランスコスモスと連携し、BIMデータの整備や運用ルールの標準化、人材育成、運用定着を進め、設計事務所などのパートナー企業を対象とした「BIM習得プログラム」の参加受付も始める。飲食分野が本格的なBIM導入に踏み切る先行的なケースとなり、両社は店舗の建設・運営におけるデジタル化のモデル構築を目指す。

取り組みの中核となるのが、トリドールHDが構築するBIMデータ基盤「TORIDOLL BIM Ecosystem」だ。店舗の3Dモデルに属性情報を付加し、土地の探索から設計、施工、運営、修繕、改装、閉店まで、ライフサイクル全体で情報を共有・活用する。グループ各社の店舗開発・建設プロセスを標準化し、店舗づくりの品質と再現性を高める狙いがある。
BIMデータの活用により、設計段階で完成イメージを関係者間で共有し、認識のずれを抑制するほか、図面や設備情報の一元管理、部材数量の算出、工事進捗の把握などの効率化を目指す。建設後も設計・設備情報を維持管理に活用することで、修繕や設備更新の精度を高め、従業員のメンテナンス業務の負担軽減や、故障・修繕に伴う臨時休業リスクの低減につなげる考えだ。
BIMにAIを組み合わせた運用方法の開発も進める。蓄積した店舗データを設計の最適化や積算支援、将来的な出店判断などに活用し、経験や勘に依存しがちな判断をデータで支える仕組みを目指す。
人材育成では、設計会社・建設会社などのパートナー企業向けにBIM習得プログラムを開設する。BIMの基礎知識やトリドールHDの活用方針、店舗設計フローに沿った運用、ソフトウェアの操作、標準モデル・ファミリデータの活用などを扱い、実案件を通じたフォローアップも予定する。

トリドールHDは教育機会や実案件の提供、活用事例の共有、パートナーネットワークの形成を担い、トランスコスモスは教育カリキュラムの設計・研修運営、BIM標準化、AI活用教育、設計業務改革、運用定着などを支援する。各ブランドの什器や厨房機器、設備などのBIMパーツ整備も進め、設計事務所や関連協力会社を含めた共通データ環境の構築を図る。
両社は2030年を見据え、不動産会社、設計会社、施工会社、設備メーカー、サプライチェーン、店舗運営をデータで接続するエコシステムの構築を目指すという。
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BIMedia目線ーー飲食店舗は厨房機器や什器、設備などの仕様を標準化しやすいが、立地や建物条件、ブランドごとの設計要件への対応も必要となる。トリドールHDの取り組みはBIMを設計・施工段階の可視化にとどめず、店舗運営や維持管理まで活用することで、多店舗展開における情報の再利用と業務の標準化を目指すものだ。実現に向けては店舗ごとのモデルや設備情報を継続的に更新し、設計事務所や建設会社、設備メーカーなどが共通のルールでデータを扱える環境づくりが重要となり、BIM習得プログラムを通じてパートナー企業の対応力を高め、データ基盤と実務運用を一体で整備できるかが、飲食建設業界への波及を左右しそうだ。