BIM未来図 空間の価値づくり(中)

使えるところからの意識根付く 
専用ファミリが迅速な作業に

 オートデスクの内装・ディスプレー業界向けラウンドテーブルでは丹青社、船場、乃村工藝社、三井デザインテックの4社が前半と後半に分かれ、空間価値を生み出すためにBIMをどう使い、どのような視点を重視しているかを語った。内装分野ではBIM導入の流れに呼応するように、2次元CADからBIMソフト「Revit」に移行する動きが広がっている。登壇したトップランナー4社に共通するのは「使えるところから使っていく」という前向きな意識だ。これは基調講演で登壇した建築家の中山佳子氏(中山佳子設計企画)が実践する「いいとこどりBIM」に通じる考え方だ。

BIMビジュアライゼーション活用(提供:船場)

 2019年からBIM推進に乗り出した船場では設計職の8割がBIM教育を受講済み。25年度には約200件の設計でBIMを活用した。中でもオフィス系プロジェクトは受注増の影響もあり、前年度の2倍に増えている。BIM CONNECT本部の大倉佑介戦略企画部部長は「当初は一から基本操作を教えていたが、現在は『使えるところから使う』意識が必要と考え、受講者一人ひとりの目標達成に向けたマイルストーンを決めて取り組むようにしている」と明かす。

 同社の芳賀咲歩チーフデザイナーは「3次元で直感的に使えるBIMの効果は施主との合意形成だけでなく、積算や施工チームに設計意図を伝える伝達手段にもなっている」と説明する。ウォークスルー動画は「オンラインでの打ち合わせが主体のクライアントとの空間確認に最適」で、アイレベルパースも「外観サインの調整や景観協議の面でも有効」と付け加える。

 オートデスクの建設クラウドプラットフォーム「Forma」の活用も拡大している。大倉氏は「昨年はBIMプロジェクトの6割で共同作業を実現しており、26年度からは設計施工の流れを一元管理するフェーズに入っている」と強調する。同社は8年かけてBIMソフト「Revit」を使いこなすユーザー(社員)を増やしてきた。実は、この2カ月で施工管理ソリューションの「Forma Build」ユーザーが「急速に増え、1.8倍ものユーザーが使えるようになった」と急速拡大をアピールする。

前半は船場と丹青社の担当者が登壇

 16年からBIM導入に踏み切った丹青社では、特定クライアント向けにBIM体制を整備する動きが広がっている。年間200件超もの店舗設計を手掛けるクライアントの案件では、24年度からBIM標準化に乗り出した。同社デザインセンターストアデザイン局の野村智哉設計グループ長は「標準化によって一つのデータを関係者がシームレスに連携できるような環境を実現できた。これにより作業の効率化が大幅に向上したことが成果の一つ」と手応えを口にする。

 家具や設備、部材、サインなどの専用ファミリも整備した。新規案件だけでなく、改装案件でも設計担当の業務効率を引き上げる要因になっている。同社関西支店の草野真友香デザイナーは「BIMを使い始めてちょうど1年になるが、専用ファミリが構築されているおかげで迅速な作業が実現し、合意形成の面でも効果が出ている」と強調する。

 Formaも関係者との迅速な情報共有を後押しする基盤になっている。野村氏は「設計中のデータをリアルタイムにチェックできるため、2次元CADで進めてきたPDFチェックと比べ作業時間を大幅に短縮できた。施工段階でも最新データにアクセスできるメリットが生かされるだろう」と考えている。クライアントの厳密なデザインルールや法規チェックを支援する専用AI(人工知能)も開発し、BIM×AIの視点から空間価値の提供を推し進めている点も同社の特徴だ。

この記事は 建設通信新聞 からの転載です

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