グラフィソフトジャパンが提供するBIMソフト『Archicad』のユーザー交流イベント「USERFEST2026」で目を引いた試みの1つに「みんなで施工ライブモデリング!」というセッションがあった。「ツールの限界を探る」をテーマに、普段使いなれたArchicadの新たな可能性を探ることが狙いにあった。

これまでは1人が施工ステップモデリングを解説する枠組みであったが、今回は4人を選抜し、それぞれの進め方を皆で共有する試みを取り入れた。施工ステップのやり方は会社ごと異なるため、あえて同時に4人それぞれの進め方を共有することで、参加者が自らの業務に当てはめて参考にできるよう工夫した。 「こう使えばもっと自由に形を作れる」。そうした試みの一環として、当日発表された課題をチームでモデリングするタイムトライアルも盛り上がりを見せた。
Archicadは大手組織設計事務所から中堅中小、さらにはアトリエ系事務所など設計者が愛用する印象が強いが、実は施工ユーザーグループの規模は400人にも達し、設計ユーザ-グループの150人を大きく引き離す。USERFEST2026の実行委員長を務めた多田幸弘氏(松井建設)は施工ユーザーグループの代表も務めており、「今回のUSERFESTも施工系の色合いが例年よりも強く感じてもらえたはず」と振り返る。
施工ユーザーグループが発足したのは3年前。参加者は一気に400人に達した。多田氏は「施工効率に向けた事前のシミュレーションがより成果として見えやすい。失敗や後戻りを未然に防げるため、施工ではBIMデータ活用の成果が明確に出てくる。施工の取り組みを参考にしたいと設計者が施工ユーザーグループに参加するケースも少なくない」と説明する。
施工図ワーキングを立ち上げ、Archicadを使って施工図を描くにはどう取り組めばいいかを1年間かけて検討し、冊子としてまとめるなどの対外的な成果も示している。USERFEST2026の副実行委員長の遠藤元樹氏(熊谷組)は「実はAI関連も施工に負けないくらい活発な動きが出始めている」と強調する。

最前線では、ユーザー同士で情報を共有し合う流れも広がっている。これまで新たな機能がほしい場合は、グラフィソフトジャパンを通じて要望を上げてもらい、最新版で実装される流れが一般的だったが、AIの進展に伴いArchicadユーザー自身がAIを使ってアドオンツールなどを開発する動きも見られるようになった。
同じく副実行委員長の冨永麻里氏(山九)は「日本のユーザー限定の動きとしてAIソリューションフォーラムを立ち上げ、そこでツールなどを共有していこうという動きも進んでいる」と明かす。企業ではArchicadに限らずデジタルツールのプラグインをAIを使って自社開発する流れも広がっている。遠藤氏は「開発したツールが会社の資産として位置付けられるケースもある。皆で共有できる枠組みになれば」と付け加える。
USERFEST2026の実行委員18人が着用したTシャツの背中には「Our Fouth Place」との文字が刻まれている。多田氏は「ファーストプレイスは自分の家、セカンドは職場、サードはリフレッシュの場、そしてフォースプレイスは自己革新を可能にする集団的なつながりの場であり、まさにUSERFESTという場に通じている」と説明する。
Archicadの進化は、いわばユーザーのスキルアップによってもたらされる。USERFESTは、その進化を取り込みながら成長している。次回2027年の開催地は大阪に引き継がれることが決まった。多田氏からのバトンは次期実行委員長となる新貴美子氏(ATELIER NEWS)、副実行委員長の奈木紀子氏(Atelier-NAGI)、德永康治氏(澤村)、大永祥太(大永祥太建築設計事務所)の4人に手渡された。
まさにUSERFESTは、ユーザーの絆がArchicadの生命線であることを実感できる場であった。
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