グラフィソフトが提供するBIMソフト『Archicad』のユーザー交流イベント「USERFEST2026」が6月12日に東京・浜松町の東京都率産業貿易センターで開かれた。「1人では解決できないことも仲間となら何とかなる」。実行委員長を務めた多田幸弘氏(松井建設)がそう呼び掛けたように、USERFESTはユーザー同士が「切磋琢磨」する場となった。会場には300人を超えるArchicadユーザーが一堂に会した。参加者の目線からBIMの最前線を追った。

場内は熱気に包まれていた。「参加者にはBIM(Archicad)を使って課題解決したいという共通の思いがある。ベテランも初心者も興味あることを吸収し合う場になっている。まさにUSERFESTはArchicadユーザーによるユーザーのためのイベントである」。多田氏は参加者の思いを代弁するように力強く語る。
19年の福岡から始まったUSERFESTは今回が8回目となる。東京での開催は初めてのことだ。300人超えは過去最大規模。全国各地からの参加者はベテランのユーザーだけでなくArchicadを使い始めた初心者も少なくない。「近年は特に20代、30代の参加者が増え、その裾野の広がりがUSERFESTの盛り上がりになっている」と付け加える。

実行委員会は総勢18人。常に「リアルタイム」にこだわってきたという副実行委員長の遠藤元樹氏(熊谷組)は「画面越しでは伝わりきれない現場の熱量や、ふとした瞬間に生まれる会話の中にこそ得られるものが多い。そこに経験の差はない。われわれ実行委員会は参加者と一緒に新しいArchicadの景色を見たいと準備を進めてきた」と話すように、セッションの構成はまさに最新トレンドを意識した内容になった。
4月から確認申請の新たな制度としてスタートしたBIM図面審査を見据えたセッション「HOW TO 適合」では、Archicad初心者に向けて入出力基準適合誓約書の対応方法を伝授したほか、「BIM申請マジか!法規で使えるBIM情報テクニック」ではALVS(A=採光、L=換気、V=無窓階・換気等の計算、S=排煙)やブロックプランなどを題材に情報と法規を紐付ける方法を解説した。

遠藤氏自身が講師役を務めたセッション「BIMx限界突破」は、今回初めて企画された試みの1つだ。Archicadコラボレーションツール『BIMx』の隠れた機能を使い、現実とBIMを効果的につなげるポイントを紹介し合う場となり、より実践的なBIMxの使い方が共有された。
初級、中級、上級の3つに区分けしたAI関連は、特に賑わいを見せたセッションの1つだった。初級編ではBIMマニュアルや各種書類の作成を例にAIへの指示の組み立て方と改善の流れを紹介し、中級ではArchicadとAI(Claude Code)でつないだ場合に何ができるかを伝授した。上級では自らの業務に合わせてアドオンなどを形にする実戦例を解説し、段階的にAIを使いこなすためのポイントが示された。
「Archicadに取り組み始めた際、社内でひとり悩んでいた私を救ってくれたのがユーザー会の仲間だった」と振り返るのは副実行委員長の冨永麻里氏(山九)だ。技術的なアドバイスだけでなく、コミュニケーションの部分も含めて学ばせてもらった。「ユーザー会の下支えがあったからこそ、私自身が成長できた。今回は実行委員側で恩返しできれば」と取り組んだ。
USERFESTが熱気に包まれた背景には、そうしたArchicadユーザーひとり1人の参加意識の高さに加え、会場を9つのセッションテーブルに区分けしたフェス形式を取り入れた点も盛り上がりの効果を生んだ。これまでは事前に参加するセッションを決めていたため、実際に参加した際にイメージと違った場合もあった。自由にセッションを渡り歩きたい。そうした要望に応えたのがフェス形式だった。
隣のテーブルのセッションが盛り上がっていれば、そちらに移動できるようにしたことで、参加者は自らの興味に応じて場内を散策できるようになった。隣同士で活発に議論し合うUSERFESTの光景は、まさに「切磋琢磨し合う場」(多田氏)であった。
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