日刊建設通信新聞社がオートデスクと共催した建設コンサルタント向けラウンドテーブル「土木の3次元設計を進展させるために」の各セッションを5回連続で紹介する。第一回は国土交通省大臣官房技術調査課参事官グループ事業評価・保全企画官の齋藤正徳氏。講演ではBIM/CIMの最新動向を網羅的に紹介した。

プロジェクトCDEの機能要件整理へ

3次元モデルを活用する取り組みとして、英国のような標準オブジェクトのライブラリの整備を日本でも進めている。標準的な形状データだけでなく、積算で使うような属性情報も組み合わせて主要なデータ形式に対応する。近く試験公開を予定している。
3次元モデルの共有についてはBIM/CIMを実施する上で必要となる閲覧・共有用ビューアを整備するため、一定期間データの保管が可能な環境として「3次元データ共有システム」をクラウド上に構築し、年内をめどに試験運用を行う。
今後は調査、設計、施工、維持管理の各段階にどうデータを継承していくかを軸にデータ連携の枠組みを整えていきたい。3次元モデルのみでは必要な情報を全て表現できるわけではない。設計、施工、維持管理にステップが進むにつれ、多様な情報が付与されるが、3次元モデルをその都度再編集することは負担が大きく、受注者側の負担も大きくなる。そこで新たな情報伝達の方法を検討する必要があると考えている。
AIを活用したデータ連携・自動化技術が発達し、3次元ソフトウェアの専門知識がなくても簡単なモデルを作成できる技術開発が進んでいる。こうした技術の進展を踏まえ、設計から施工にしっかりデータ連携ができるよう仕組みを考えていきたい。形状や仕様の決定根拠については、図面や3次元モデルだけでは十分に把握できないという課題もある。そこで設計知のデジタルデータの伝達を目的に、3次元設計のプロセスの構造化を進める。建設生産管理プロセス全体におけるデータ連携・継承という観点からも、設計成果をファイル単位でなくデータ中心の「情報モデル」に変革していきたい。
情報モデルの定義付けができれば、各段階で3次元モデルだけでなく、2次元図面も生成して活用できる。情報モデルを中核としてデータ連携を進める世界の実現を目指す。
プロジェクト単位のデータ共有の仕組みとして構築している「プロジェクトCDE」については現在、複数の事務所からデータを集め、工事発注前の情報がどのように作成・取得・共有されているかを検証していく。それを可視化してCDEの設計を行い、プロトタイプを開発して現場に適用しながら2026年度末までには機能要件を整理していく。
20年度から運用している国土交通データプラットフォームもオープンデータ活用の面で重要な取り組みになる。25年度にはオープンデータ活用の方針を示しており、国交省で保有しているデータに加え、官民連携で民間の保有するデータも保管して公開している。25年11月にはMCPサーバーを実装し、対話形式でデータが検索できるようになった。
直轄業務では3次元モデル活用のユースケースを想定して省人化への試行実証を繰り返し、かなり効果があることを確認している。今後は設計データを施工、維持管理段階まで活用できる環境にしていくこと、そして情報モデルを軸としたデータ連携を実現することが重点テーマとなる。
この記事は 建設通信新聞 特集「土木の3次元設計を進展させるために」からの転載です
連載「土木の3次元設計を進展させるために」 他のセッション記事は「こちら」
