BIMedia編集部

コラム 「BIM/CIM2・0の幕開け」

 国土交通省が直轄土木事業で原則適用するBIM/CIMの軸を「3次元モデル」から「情報モデル」に方針転換した。

 これまで設計段階で作成した3次元モデルを施工や維持管理の段階に引き継ぐ方針を示していたが、3次元モデル単体ではなく、設計条件や仕様、断面図、数量、関連資料など設計成果全体を網羅した「情報モデル」を軸に置き、必要に応じて3次元モデルを再生成・活用する考え方に切り替える。

 国交省がBIM/CIM対象の業務や工事を対象にした受注者アンケートでは、3次元モデルによる可視化で関係者のコミュニケーションが理解度が高まるなどの効果が浮き彫りになる一方で、3次元モデルと2次元図面との二重管理や修正作業が発生するなどの課題が出ていた。

 特に最前線の施工現場では、条件変更などで3次元モデルを再作成するケースが多い。しかも施工段階に3次元モデル自体を修正することは難しく、現場は改めて3次元モデルを作成せざるを得ない条挙になっており、プロセス間のデータ連携が十分に図られていない実態があった。

 情報モデルへの転換は、3次元モデルを引き継ぐことを目的とする従来の考え方から、設計情報そのものをデジタル資産として引き継ぐ考え方への大きな転機となる。これを出発点に、AIによる3次元モデル自動生成技術の進展を見据えながら、設計・施工・維持管理をつなぐデータ基盤の構築が本格化することになりそうだ。

 国交省は、これまでは2027年度から3次元モデルを工事契約図書として規定する方針を示していた。この方針転換によって、2026年度中に情報モデルを工事契約図書として活用するためのガイドラインをまとめ、翌27年度から試行運用に乗り出す見通しだ。

 ガイドラインでは、情報モデルの作成方法や積算での活用、工事発注時の提供方法、品質確保などを整理し、受発注者双方が実施すべき手順を明確化する。設計・施工・維持管理まで一貫したデータ活用を実現するため、情報モデルを契約図書として位置付ける。

 国交省が重要視するのは、プロセス間の円滑なデータ連携だ。設計値のデジタルデータの伝達を主目的に3次元設計のプロセスを組み立て、設計成果をファイル単位でなく、データ本位の情報モデルに切り替えることが方針の軸になる。

 その先には、AIなどのデータ処理技術を活用した自動的な数量算出による効率化がある。これまでは数量などの読み取りを人が行うワークフローだった。将来には検討に必要なデータを自動作成し、人が妥当性を判断するワークフローへの切り替えを見据えている。

 3次元モデルから情報モデルへ。これはBIM/CIMが新たなステージに足を踏み入れる転換点である。国交省は建設事業で取扱う情報をデジタルデータとして統合管理していく方針を強く打ち出す。まさにBIM/CIM2・0が幕を開けようとしている。(西原一仁)

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