BIM未来図 三建設備工業(3)

RFIDタグが導入率の根拠に 
作業員が回収する流れ確立

 三建設備工業のプロジェクト(PJ)管理は、新たに確立した「Sanken Construction System(SCS)」への移行後もこれまでと変わらない業務の流れで進んでいる。設計段階では契約するための契約図を作成し、それを現場で製造できるように施工図に書き換え、製造にもデータを活用している。4月から運用を始め、現場の7割がオートデスクの建設クラウドプラットフォーム「Forma」を基盤に運用を始めた。導入率の根拠としているのが、施工状況との関連性を持たせた独自のアイデアだ。

現場で回収されたRFIDタグ

 新システム導入の総指揮をとるDX推進本部DX推進部の日比俊介担当部長は「資材の施工が完了した際、現場で資材に貼ったRFIDタグを回収してもらい、それを集計している」と説明する。これは、2020年に日比氏が新たなPJ管理のヒントを学んだ竹中工務店施工の庁舎PJ現場で得た成果をアレンジしたものだ。

 資材には発注のタイミングで情報を付与し、製造工程に合わせてRFIDタグを資材に貼り、搬入している。現場では施工作業が完了した段階で、資材からタグを剥がしてもらい、現場事務所で回収する流れとなる。DX推進部の内田泰斗課長代理は「回収したタグは一つひとつ読み取るのではなく、ユニクロのレジのようにまとめて読み取れるため、手間もかからない」と説明する。

 現場作業員は一日の作業を終えると事務所へ報告に訪れる。その際に回収することで負担もなく業務の一環として取り入れることができる。当初は剥がしたタグをポケットに入れたまま帰宅してしまうケースもあったが、いまでは作業が終わったら事務所に立ち寄ってタグを手渡す流れが定着している。各拠点や現場とのパイプ役を担うDX推進部の森勇太主査は「現場にデジタルツールと向き合ってもらうためには、できるだけ環境を変えない工夫が重要になってくる」と考えている。

RFIDタグの貼られた配管

 4月から新システムへの移行が円滑に進んだ背景には、DX推進部側で拠点ごとにフォルダセットを提供したことも大きな後押しとなった。PJリーダーとして取りまとめ役を担う高橋渉課長代理は「拠点ごとに多くの要望があったが、それを入念にヒアリングして最適なフォルダ構成を準備できた」と強調する。Formaはフォルダへのアクセス権限を詳細に区分け管理できる。これまでクラウドストレージの「BOX」を全社運用していた。「業務の流れを変えないようにフォルダを構成したが、拠点は9支店に達し、しかもそれぞれで業務の流れが異なるため、9通りのフォルダ構成を準備した」と付け加える。

 日比氏の指示を受けて開発エンジニアに新システムの考え方を伝える役割を担う内田氏は「開発を進めていく中で日比がこだわるデータベース(DB)の重要性が、将来の事業運営の価値となることを明確に実感できるようになった」と振り返る。先導役のDX推進部メンバーも新システムの持つ意味合いを皆が理解し、それが業務の推進力になっている。

 森氏は現場への窓口として活動する中で「立ち位置が変われば、業務への向き合い方や視点の持ち方も変わる。さまざまなポジションが同じ思想で動けることが組織力になるだけに、現場担当にDBの重要性を理解してもらうことが重要になってくる」と自らに言い聞かせるように語る。

 現場サイドへの理解をどう促すか。それはまさにデジタル改革を推し進める企業にとって共通する課題の一つだ。そうした課題を意識して、同社は新システムの構築を進めてきた。

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