BIM未来図 三建設備工業(1)

Forma基盤にプロジェクト管理 
主体は「ヒト」から「モノ」へ

 三建設備工業が、設計から施工、維持管理までの一貫したプロジェクト(PJ)管理体制の確立に向けて動き出した。オートデスクの建設クラウドプラットフォーム『Forma』を基盤に、PJ管理の主体を「ヒト」から「モノ」へと移行することで、属人化の流れを排除し、再現性のあるプロセスを実現することが狙い。4月から運用に踏み切り、既に稼働中現場の7割が導入を始めた。同社が目指す新たなPJ管理の枠組みとは何か。その最前線を追った。

稼働中現場の7割に導入

 「現場がいままでやっていた業務の流れを変えないことを前提にシステムを構築してきた」。DX推進本部DX推進部の日比俊介担当部長は、運用を始めた新たなPJ管理システム「Sanken Construction System(SCS)」への思いをそう説明する。基幹システムと連携し、受注が完了した時点でFormaが自動で立ち上がり、その流れに沿って資材の状態が変化していく状況を後工程に引き継いでいく仕組みを形づくった。

 「建設業はヒトをベースにした管理を重視しているが、われわれが扱うプロダクトはあくまでもモノであり、設計から施工に情報が流れる際にはモノの状態が移り変わっていく。その変化の連続性を、ライフサイクルを通じてきちんと情報として蓄積していくことが、当社が構築したPJ管理の考え方」と付け加える。

 これまで同社は、情報共有環境としてクラウドストレージの「BOX」を活用してきた。ただ、その活用は単に情報を出し入れする「点」としての管理にとどまり、調達から施工、検査、竣工までの流れの中で「状態の変化」に対応した管理ができない状況にあった。Formaの導入により、資材のライフサイクル全体を見据えたトータル管理が可能になった。

 現在稼働中の現場300件のうち、7割が導入を始めた。一気に導入が広がった背景には、現場の担当者が従来のやり方と同じようにデータを入力できるよう配慮したシステム構築の工夫があった。DX推進部の高橋渉課長代理は「現場が違和感なく取り組める状態を提供することに力を注いできたことが導入の後押しになった」と強調する。

オートデスク「Forma」を基盤にしたSCSのフロー

 これまで現場では、PJ管理に関連する諸情報をBOX内に設定したファイルに入れ、関係者間で共有してきた。作業の進捗(しんちょく)に合わせ、情報を付加して新たなファイルに入れる流れとなるが、 経験の浅い現場担当者などは次に情報をどこに格納すべきか判断に悩むケースもあった。内田泰斗課長代理は「4月からは情報を入れると、Forma側で次に何をすべきか指示を出す流れとなり、誰もが迷わずに情報共有ができるようになった」と説明する。

 Formaには常時日々800人規模がアクセスしている。短期で終了するPJについては現場の混乱を避けるため、BOXを継続して使うことにしたものの、工期が2、3年の大型工事は4月を境にFormaへの切り替えを行った。オートデスクとは全社利用契約を結び、協力会社などのPJ関係者を無償で招待し、Formaを軸に皆が情報共有する枠組みを実現した。

 DX推進部は、従来のワークフローを軸にしながら現場が違和感なく使えるシステムを1年かけて構築してきた。その陣頭指揮をとった日比氏は「Formaには建設ワークフロー向けのさまざまな機能があり、それをどう活用していくのか現場の目線を大事にしながら形づくってきた。これは当社独自の仕様となる。現場の導入率も来年度には限りなく100%になるだろう」と手応えを口にする。

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