特集 BIM教育と資格(2)

コンピュータ教育振興協会 
BIM利用技術者試験

 企業のBIM導入拡大を背景に、BIMの人材育成に力を注ぐ流れが広がりを見せている。独自の社内資格を位置付ける企業もあれば、外部の認定資格や専門トレーニングの活用によってBIMレベルを引き上げようと取り組む企業もある。CADオペレーターの中にはステップアップの一環でBIMスキルを習得する動きも出てきた。BIMの認定資格や受講プログラムを通して、BIM人材づくりのヒントを探る。第2回目はコンピュータ教育振興協会の「BIM利用技術者試験」にスポットを当てた。


 BIM利用技術者試験で着目すべきは、受験者が愛用するBIMソフトを使って実技試験が受けられる点だろう。実技の対象にRevit、Archicad、GLOOBE、Vectorworksという国内の主要4ソフトを位置付けているため、企業にとっては社内のBIMスキルアップ手段として導入しやすい。近年は特定のソフトを位置付けないopenBIMを志向する企業も増えつつあるだけに、より使い勝手の良いBIMの資格認定試験と言えるだろう。

 試験は3段階に区分けされ、筆記・知識試験の「2級」合格者に、実技・技能試験となる「準1級」と「1級」の受験資格が与えられる。母数となる2級の受験者数は、スタートした2023年度に649人、24年度に773人、25年度は909人となり、着実に右肩上がりで推移している。累計合格者は2級が2058人、準1級が146人、1級が142人となり、3つ合わせ年間1000人ペースで合格者を積み上げている。

 コンピュータ教育振興協会(ACSP)で事務局長を務める佐藤文武さんは「25年度は900人の目標ラインとして設定していただけにクリアできてホッとはしているが、欲を言えばもう少し増えてほしい」と本音を明かす。試験スタート時の23年度からBIM確認申請の動きを見据えており、BIM図面審査前の25年度には一定程度の需要が見込めるとの予測を立てていた。3年後の29年春から始まるBIMデータ審査には「間違いなく動きが出てくるだろう」と期待を込める。

 試験の制度設計は2級で学生を取り込む流れを強く意識し、社会人になって実務を積んだ上で準1級や1級にステップアップする明確な流れを描いている。準1級がモデリング技術を主体としたBIMソフトの基本操作スキル能力を重視していることから、学生の中には準1級まで取得するケースもある。1級は実務経験を一定程度積まなければ対応できない実技課題を設定しているため、企業にとっては対象者のBIMスキルに応じて段階的に受講させることも可能だ。社会人の中には2級合格後、準1級を飛び越して1級試験に挑むケースも少なくない。「われわれは最終的に実務レベルのBIMスキルを証明できる試験を意識している」と付け加える。

 2級試験は全国のテストセンターから日時や場所を自由に選択できるCBT方式を採用しているため、一年を通して受講できるが、1級と準1級の実技はパソコンを使った操作スキルを判断するため、受験日が決まっている。2026年度の一般試験は9月6日に開催予定。実技会場にはパソコンを自ら持ち込むことが条件になるが、PCにBIMソフトをあらかじめインストールしていなくても、自社のクラウド環境を使って受験することも可能だ。

 企業、学校、団体が所属する職員や学生をまとめて受験させたい場合には認定会場の枠組みを活用できる。2級試験は組織の都合で試験日を決めることが可能で、1級と準1級の試験については3週間(26年度は8月17日~9月6日)の幅を持たせて受験日が設定できる。受験料の割引も利点の1つだ。

 「この認定会場試験を大いに活用してほしい」と、佐藤さんは呼び掛ける。専門学校などの教育機関にとっては、学生に対策講座を実施した上で試験を受けさせることができ、企業にとっても社内研修とセットで最終日に試験を受けさせる使い方もできる。

 現在は16団体が認定会場を活用し、このうち企業は6社、残り10社が専門学校など教育機関が活用しており、団体受験の割合は全体の12%台で推移している状況だ。「企業からの相談はあるものの、窓口になってくれる調整係の担当が社内でみつからずに断念するケースもある」。認定会場を使う6社では社内のBIM推進担当が下支え役となっているだけに「社内のBIM教育の流れの中に試験を位置付けてもらえるような枠組みを積極的に提案していきたい」と考えている。

 現在は海外に置くモデリング拠点のBIMオペレーターに試験を受けさせたいとの相談も舞い込んでおり、26年度には海外の認定会場の初事例が出てくる可能性もあるようだ。既に合格者の中には、日本で働く外国人も目立ち始めており、2級で3割、1級と準1級では1割ほどに達するという。

 BIMの導入フェーズが施工段階に入ったゼネコンなどでは、現場導入が拡大する中でBIMオペレーターの確保が急務になっている。派遣会社などを通じた人材確保の道筋はあるものの、人材のBIMスキルを明確に判断する術がない。BIM人材にとっては、BIM利用技術者試験が自らのキャリアパス形成の証にもなる。

 4月からBIM確認申請が動き出し、BIM普及の流れは着実に進展している。29年春のBIMデータ審査まで3年。企業にとっても、業界にとってもBIM教育の重要性はさらに高まるだけに、BIM認定資格との結びつきはさらに強まる。確認申請の動き出しに合わせて、佐藤さんは「26年度がBIM教育元年になれば」との思いを強く持っている。BIM利用技術者試験の詳細はこちら

特集 BIM 教育と資格 

(1)グラフィソフト「BIMマネージャープログラム

(2)コンピュータ教育振興協会「BIM利用技術者試験

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