SUAKX(兵庫県西宮市)は、建築プロジェクトの共通データ環境(CDE)となるWindowsアプリ「.cde(ドットCDE)」の提供を始めた。データや履歴を利用者のPCや自社サーバーで管理する「ローカルファースト」を特徴とし、BIMモデルや図面などの成果物だけでなく、プロジェクトの意思決定履歴まで長期的に扱える環境を目指す。

既存のCDEにはクラウドサービスが多く、データや履歴が特定のサービスや契約環境に依存するケースもある。同社はこうした点に着目し、データを利用者側に保持するドットCDEを開発した。ファイルを個別に管理するのではなく、プロジェクト全体の状態を「節目」として保存するもので、ソフトウェア開発で広く利用されているバージョン管理システム「Git」の考え方を取り入れた。
これにより設計データの更新時に「どれが最新のファイルなのか」をファイル名や日付で管理する必要を減らし、過去の状態に戻ったり、異なる時点のデータを比較したりできる。保存できるファイル形式にも制限を設けず、PDF図面や資料などをそのまま保存が可能なほか、IFCやRhino(3dm)については取り込み時に閲覧用の3Dデータへ自動変換する。
複数の成果物を組み合わせた状態を専用の設計ソフトなしで3D表示でき、モデルの回転や拡大、部材情報の確認にも対応する。異なる「節目」を比較することで追加・変更・削除された箇所を可視化し、複数ファイルを組み合わせた干渉チェックや断面表示、寸法計測、視点保存などの機能も備えている。

特徴の一つが、データの保存・表示をPC内で完結できる点だ。クラウドへのアップロードを必要としないため、インターネット接続がない現場や、社内LAN環境でも利用できる。チームで利用する場合はSSH接続可能な自社サーバーを同期先として指定でき、同期先の構築・管理には同社が無料公開しているCLI(コマンドライン・インターフェース)版を利用する。
CLI版はWindows、macOS、Ubuntuに対応し、GitHubで公開されている。有料のWindowsアプリと同じエンジンを使用し、節目の保存や共有などの機能を備える。Windowsアプリのサブスクリプションを終了した場合でも、すでに追加したプロジェクトは引き続き閲覧でき、データは利用者のPCに残る。保存済みデータについては無料のCLI版から読み書きすることも可能という。
本体は無料。プロジェクトの追加・作成、節目の保存、チームとの同期などを利用する場合は、Microsoft Store経由のサブスクリプション契約が必要となり、料金は月額2000円(税込)となる。
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BIMedia目線ーードットCDEが興味深いのは、CDEをクラウドサービスへのデータ集約として捉えるのではなく、利用者自身がデータを保持するという選択肢を示している点だ。建築物のライフサイクルが数十年に及ぶことを考えれば、設計・施工時のデータや意思決定記録を、サービス終了や契約終了後も利用できる仕組みには一定の意義がある。一方で企業間のデータ共有やセキュリティー、運用ルールなど、実務への普及に向けて検討すべき課題もある。BIMが設計ツールから建物のライフサイクルを支える情報基盤へと広がる中でデータを誰が持ち、誰が管理し、将来どのように読み出せるようにするのか。CDEのあり方そのものを考えるきっかけを提示する製品とも言えそうだ。