確認申請の新たな制度としてBIM図面審査がいよいよ動き出す。その中でグローバルBIMの矢嶋和美社長の視座は、すでに「3年後」を明確に捉えている。

「われわれの目線は、2029年度から始まる本格的な『BIMデータ審査』へとすでに向いている」。直近のBIM図面審査では、確認申請用CDE(共通データ環境)を用い、BIMモデルから出力したPDF設計図書と、参考としてのIFCデータを活用して審査が行われる。しかし、29年度からはIFCデータそのものを基準とした審査へと大きく舵が切られる。
このパラダイムシフトを見据え、矢嶋氏は「申請者が戸惑うことなく、安心して提出用IFCデータを事前チェックできる仕組みを準備している」と明かす。仮にデータの不備による再提出が起きれば、予定していた期日に工事が着手できないという大きなリスクが生じる。特に大型案件を抱えるゼネコンや組織設計事務所にとって、事前チェックによって安心して審査に臨める環境の需要は計り知れない。
この構想の中核を担うのが、同社が展開するBIMコンサルティングサービスと、openBIM基準に準拠したノルウェー・Catenda社のCDEプラットフォーム『Catenda Hub』だ。
同社のBIMマネージャーは、プロジェクトの参加者それぞれが愛用する多様なアプリケーションから出力されたIFCデータをCatenda Hub上で統合している。干渉チェックなどの手戻りを未然に防ぐ「橋渡し役」として、現場のデータマネジメントを一手に引き受け、円滑な運営を強力に支援している。
「IFCデータによる確認申請が動き出せば、必然的にIFCデータを軸にした施工BIMの流れもさらに進展していく」(矢嶋氏)。着工前により詳細なモデルを準備し、事前に課題を解消する手立てを講じることが、建設現場の生産性向上に直結するからだ。

現在、国の定める要件に合わせ、Catenda Hubを基盤とした「確認申請チェック用CDEサービス」を確立すべく、API連携の開発が進められている。この詳細な枠組みが正式に発表される場として予定されているのが、今年10月に東京で開催されるビルディングスマートインターナショナル(bSI)の国際会議だ。
openBIMを提唱する国際組織であるbSIは、設立準備中を含め世界に37のチャプター(支部)を展開している。日本支部であるbSJの設立30周年という節目の年に開催される東京会議には、50カ国以上から延べ600人を超える参加者が見込まれている。
矢嶋氏自身、施工分野の先駆的なリーダーとして10年以上にわたるbSIでの貢献が評価され、今年3月にポルトガル・ポルトで開催されたbSI会議において名誉ある「フェロー」の称号を授与されたばかりだ。この10月の東京会議において、自社の確認申請チェック用CDEを世界へ向けて打ち出すことは、「日本にopenBIMを広げる大きな起爆剤にしたい」という強い狙いがある。
グローバルBIMの勢いは、その事業成長にも顕著に表れている。鹿島建設の100%直接出資の完全子会社でありながら、現在は業務の過半数を鹿島以外のゼネコンや設計事務所からの受注が占める。売上も年率2割増という右肩上がりの成長を続けており、まさに日本におけるopenBIM定着の推進力となっている。
同時に、次世代の育成にも余念がない。世界的に有名なフィリピンのBIM設計事務所・AIDEA社と連携した社員の「BIM留学」も軌道に乗り始め、最前線で活躍するプロフェッショナルの育成が進んでいる。「この3年間で、新卒入社の30歳以下の若手が、BIMプロジェクトを取り仕切る案件リーダーとして独り立ちする。若手が着実に力を付けることで組織力が一段と高まり、より多くのプロジェクトを下支えできる体制が確立できる」と矢嶋氏は確かな手応えを口にする。
3年後のBIMデータ審査という新時代に向け、グローバルBIMはすでに力強く、そして確実な一歩を踏み出している。
この記事は 建設通信新聞 特集「BIM2026」からの転載です