鴻治組

急峻な砂防現場で遠隔・自動施工を実証 
EARTHBRAINと連携し作業人員50%削減

 鴻治組はEARTHBRAINと連携し、広島市安芸区の砂防堰堤工事で遠隔操作油圧ショベルと自動運転クローラーダンプを組み合わせた遠隔・自動施工を実証した結果、危険区域内で作業する人員をゼロにし、作業人員を50%削減するとともに1人当たりの生産性を32%向上させる効果を得た。現場に設置した移動式DX拠点「モビリティーオフィス」から1人のオペレーターが2台を統合運用し、従来2人で行っていた掘削・運搬作業を1人で担うことを実現した。

 実証現場は国土交通省中国地方整備局・広島西部砂防事務所が発注した「令和7年度 安芸南部山系深山の滝川上流支川砂防堰堤他工事」で、遠隔操作にはコマツ製油圧ショベル「PC200-11」、自動運搬にはクローラーダンプ「CD110R」を使用した。EARTHBRAINの「Smart Construction Teleoperation」などと衛星通信サービス「Starlink」を組み合わせ、現場内のモビリティーオフィスから操作・管理した。

 自動クローラーダンプの走行ルートはドローンで取得した点群データを基に、AIが走行可能範囲を判定して設定を支援し、走行中も搭載センサーとAIが障害物を検知することで自動停止する仕組みを採用した。さらに立入管理や通信途絶・ルート逸脱時の自動停止、遠隔非常停止スイッチ、AIカメラによる現場監視などを組み合わせ、安全対策を講じた。実証期間中は無事故・無災害だったという。

 現場は、自動建設機械の運用が難しいとされる傾斜地の砂防工事となり、自動クローラーダンプによる運搬を実施した。EARTHBRAINによると、同社のシステムを傾斜地の砂防工事で運用したのは全国初という。モビリティーオフィスを操作拠点として遠隔・自動施工を組み合わせた取り組みも全国で初めての試みとしている。狭隘部では障害物の過検知が発生しやすく、通信の安定性に課題が残ったものの、実際の現場で運用したことで、実用化に向けて改善すべき点も明らかになったという。

 鴻治組は今後、自動クローラーダンプの複数台運用や、より急勾配・不整地への適用を検討しており、油圧ショベルやブルドーザによる掘削、積込み、転圧の自動化にも取り組み、将来的にはフィジカルAIを活用して、1人で3~4台以上の建機を管理する施工の自動化を目指す。

鴻治組のプレスリリースはこちら

BIMedia目線ーーこの実証は遠隔操作と自動運転を組み合わせ、急峻で狭い砂防現場における掘削・運搬を一人で管理する施工体制を検証した点に意義がある。大規模な平坦地や実験施設に限らず、地域の建設会社が担う実際の工事で省人化と安全性向上を試みた。注目したいのはドローン点群を走行可能範囲の判定に活用し、現場条件に応じて自動運搬ルートを設定している部分だろう。現場の地形・状況をデジタルデータで把握し、建機の制御につなげる仕組みは、BIM/CIMやデジタルツインと施工機械の連携を考えるうえでも重要になる。過検知や通信安定性などの課題を改善し、地形や施工条件が異なる現場でも安全に運用できるかが、日常的な施工手段として普及するための鍵となる。

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