東京都立産業技術研究センター(都産技研)と大起理化工業(埼玉県鴻巣市)は、水中・地中にある水と土砂などの境界位置を継続的に計測できる小型・現場設置型のモニタリングシステムを共同開発した。センサーから得られる信号を現場で自動解析し、境界位置を「深さ」として算出する。橋脚周辺の洗掘の進行や、出水後の土砂の再堆積など、水中・地中で起きる変化を継続的に把握できる。

河川に架かる橋では、流れによって橋脚基礎周辺の河床が削られる「洗掘」が、橋の沈下や傾き、流失につながる要因となる。豪雨の激甚化に伴い、出水時に橋脚周辺の河床が大きく変化するリスクも高まっている。従来の洗掘調査では、潜水調査や音響測深などが用いられてきたが、人的負担に加え、継続計測のための機器設置・運用にも課題があった。
システムは、棒状の感知部と測定ユニットで構成するもので、測定ユニットから高周波信号を送信し、棒状感知部で生じる反射波形を解析することで、水と土砂などの境界位置を深さとして自動算出する。データロガーと接続すれば、境界位置の変化を継続的に記録できる。
約1mの棒状電極を伝送線路型センサーとして利用し、周囲の誘電率や電気伝導度が変化する位置で生じる信号の反射を捉える仕組み。周波数ごとの反射特性を時間領域の波形に変換し、反射が生じた位置から境界の深さを推定する。反射波形と理論モデルを照合することで、各層の代表的な電気伝導度も推定できる。
室内実験では、水と砂、淡水と塩水の境界位置を段階的に変化させ、波形の変化が境界の移動に追従することを確認した。推定誤差は、水と砂で最大1.6cm、淡水と塩水で最大3.1cmだった。また、同じセンサーを用いて淡水と塩水の境界位置や電気伝導度の変化も評価できる。淡塩水境界の計測には、九州大学が保有する境界面計測法の特許技術を活用している。
大起理化工業は販売を予定し、今後は水と土砂の境界を対象とした水槽試験や現場実証を進め、橋脚周辺の洗掘・再堆積に加え、河口・沿岸域の淡塩水境界を継続的にモニタリングする技術としての適用性を検証する。
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BIMedia目線ーーこれまで調査時点の「点」の情報になりやすかった水中・地中の状態を、センサーによって継続的なデータとして捉える点に特徴がある。特に橋脚周辺では、出水前後の河床変化を時系列で把握できれば、インフラ維持管理における状態監視のデジタル化につながる。土木分野では、3Dモデルや点群など「形状をデータ化する」技術が広がっている。今回のようなセンサーによる深さ方向の変化や電気的特性を組み合わせれば、構造物周辺の見えない状態までデータ化することができる。今後、現場実証を通じて継続計測の実用性が確認されれば、インフラの状態監視とデータ活用をつなぐ技術として位置付けられそうだ。
