国土交通省登録認定資格である「BIM/CIM管理技士」試験の合格者が7月末に発表され、合格率が21・9%という狭き門となった。運営する日本建設情報技術センター(JCITC)によると、受験者数は前年同様に1000人を超えたが、合格率が3割台から2割台に低下した。国交省がBIM/CIMの原則適用に踏み切る中で、国内唯一のBIM/CIM民間資格とあって、企業からの注目も高まっている。BIM/CIM管理技士試験の傾向を分析した。
合格率は24年度に40%台、25年度に30%台、そして26年度は20%台に下がった。数字上は難易度が高くなった印象だが、試験の枠組み自体に変更はない。試験は選択式となり、全50問で100点満点中60点以上が合格ラインになる。JSITCでは合格率3割前後を目安に今後の試験を展開していく考えだ。今回の結果をどうみているか。

試験では上記のサンプル問題のように、6つの選択肢から1つの正解を選ぶ設問が50問出題される。つまり、30問正解すれば合格となる。BIM/CIM管理技士の資格試験事業を担当するJCITCの三波義明さんは「今回の最高点は84点で、これまで3回の試験を行った中でも90点以上はない。日頃のBIM/CIM関連業務で培った経験だけでなく、そもそものBIM/CIM基礎知識、さらには最新の関連施策にもきちんと目を向けてほしい」と明かしてくれた。
試験問題は、実務者や専門家数名による設問作成ワーキンググループが、新年度に向けた国交省のBIM/CIM関連施策を踏まえて作成しており、毎年4月ぐらいから問題づくりに着手するという。
実は、合格率が今回20%台に落ちた要因としては、例えばBIM/CIMの基礎知識に欠けていた受験生が比較的多かった点が考えられる。受験要項でも明記しているように、試験問題は毎年4月に新刊を発行しているテキスト本として推奨されている書籍『BIM/CIM概論』(発行・BimCim普及推進センター)がベースとなっている。三波さんは「新刊の概論をどれだけ読み込み、理解を深めるかが合格への近道である」と強調する。新刊は来年4月には出版されるという。

今回の受験者1017人’(申し込みベース)、合格者212人の続性についても聞いてみた。上記が所属している組織の割合だ。合格者は建設コンサルタントが6割を超え、次いでゼネコンや地域建設業など建設業が2割、発注者はわずか2%にとどまっている。BIM/CIMの活用は設計から、施工、さらには維持管理へと展開していく。「今後は建設業の割合がさらに高まり、発注者の割合が着実に増えていくことを期待したい」と付け加える。

まず、上のグラフを見てほしい。これは合格者212人の受験資格区分と年代別を示したものだ。受験資格は実務経験3年の区分1、実務経験2年と学歴の区分2、そして1級土木や技術士など専門資格者をもつ区分3に大別されている。若年層でも受験できるように区分1と区分2のルートを設けており、前回は区分3の他資格者取得者の受験が多かったが、今回は半数にとどまった。

その結果として上のグラフにある合格書年齢層は40代と50代で5割を占めるものの、20代と30代の割合が高まり、バランスがとれた構成になった。特に20代の合格者が増加したことで年齢別の均等がとれた格好になってきたという。BIM/CIM原則化を背景に、業務や工事で対象案件が増加したことで、それらを対象する年齢層も広がり、20代や30代の技術者が資格取得に乗り出す背景もありそうだ。
では、受験者や合格者を所属別で考察するとどうか。合格者の6割強が建設コンサルタントであることから、社を挙げて戦略的に受験に乗り出す企業も見られる。10人以上が受験したのは建設コンサルタント4社で、このうち受験者70人の企業があったという。5人以上の受験者があった企業は30社弱に達し、その大半が建設コンサルタントが占めた。建設会社では大手ゼネコン1社と地域建設業1社の2社だけにとどまった。
発注者は官民合わせて9人が受験し、そのうち4人が合格したという。これまで3回の試験では受験者が計15人このうち6人が合格している。国交省や都道府県に加え、インフラ事業会社に所属する合格者もあるという。発注者はまだ少ないものの、いずれは着実に増えてくるというのが関係者の見方であり、期待でもある。
合格者212人は9月6日までに登録申請すると2026年度登録者として資格認定がなされる。登録料は受験料と同じ1万6500円(税込)。毎回、合格者のほぼ全員が登録を申請している。9月中旬には、JCITCのホームページで登録者名が公開される予定だ。
三波さんは今回をこう振り返り、次回に向けて意気込みを語る。「実は昨年の試験はCBT方式で全国300個所で受験ができた。今回は試験会場を北海道、東京、愛知、大阪、福岡の5地域に絞ったものの、受験者が前年に引き続き1000人を超えたのはBIM/CIM管理技士資格に対する期待の表れと受け止めている。次回の試験では対象エリアを7地域に増やし、少しでもニーズに対応していきたい」
次年度は27年6月から7月にかけて試験を行う計画で、受験要項などを盛り込んだ受験手引きを同年2月中旬にHPでアップし、3月から5月にかけて次年度の試験申し込みを受け付ける予定だ。「建設コンサルタントが社を挙げて資格取得を進める動きは次年度さらに広がってくるだろう。この動きがゼネコンや建設会社にも広がってほしい」と付け加える。
他の国交省登録資格では、発注の参加要件や技術評価の加点対象になるケースがある。JCITCでは、今回の登録者に対して資格取得の目的や効果などを調査し、BIM/CIM管理技士資格の存在感を高めていく方針だ。
国交省ではインフラDXの推進に加え、AIの本格的な利活用に向けた準備も動き出した。BIM/CIMデータはその基盤情報となるだけに、唯一の登録資格者としての活躍する場面も今後増えてくる。次年度は社を挙げて取得に乗り出す企業の増加で受験者数だけでなく、合格率も一気に高まるのではないかというのがBIMedia編集部の見方でもある。
