ダッソー・システムズ

AIファクトリーの建設前検証でVertivと協業 
バーチャルツインで電源・冷却設備の統合検証

 ダッソー・システムズはデジタルインフラ大手のVertivと、AIファクトリー向けインフラを建設着工前にシミュレーションするための協業に乗り出した。ダッソー・システムズの「3DEXPERIENCE」プラットフォームとVertivのインフラ設計・構築に関する知見を組み合わせ、「NVIDIA DSX」を設計基盤とするAIファクトリーの設計・導入期間の短縮を目指す。

 AIファクトリーは、AI処理を大規模に実行するための施設で、コンピューティング、電源、冷却、ネットワーク、制御システムが密接に連携する。特定の設備や設計条件を変更すると、ほかの領域にも影響が及ぶため、個別設備だけでなく、インフラ全体を一つのシステムとして検証することが重要になる。

 今回の協業では、Vertivの構成変更可能なバーチャルツイン「Vertiv SmartRun」を起点に、統合型データセンターソリューション「Vertiv OneCore」などへモデルベースの設計手法を拡張する。

 3DEXPERIENCEプラットフォームのモデルベース・システムズ・エンジニアリング(MBSE)、シミュレーション、バーチャルツインの機能を活用し、Vertivがあらかじめ設計した電源・冷却設備を、組み替え可能なシステムモデルとして扱う。

 エンジニアは、顧客ごとの施設要件に応じて設備構成を検討し、設計変更がほかの専門領域に及ぼす影響を確認できる。システム全体や複数の物理現象を対象とした検証も行い、共通の環境で設計成果物を作成する。これにより、建設前に課題を把握し、現場での調整や手戻りを抑えることを狙う。

 構成の検討段階から建設、試運転、将来の設備更新まで設計意図を維持し、変更に応じて継続的に設計・検証できる環境を目指す。両社が示す顧客向けの効果には、要件定義からAIファクトリーの構成・検証までの期間を最大10分の1に短縮することや、所定のインフラ導入期間を最大50%短縮することが含まれる。

 Vertivのモデル上の前提条件では、従来型の導入プロセスを想定したケースと比べ、AI処理能力を約10週間早く稼働させ、同じ設備容量でもプロジェクト開始後12カ月間に生成できるトークン総量を最大30%増やせるとしている。

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BIMedia目線ーこの協業は、バーチャルツインを設備の3D表示にとどめず、設計条件や設備間の依存関係、変更履歴を含むシステム全体の検証基盤として活用する取り組みになる。AIファクトリーのように電源・冷却・計算設備が相互に影響する施設では分野ごとの設計を統合し、建設前に全体性能を評価することが、手戻りや導入期間の削減につながる可能性がある。建設分野でも、BIMモデルを設計・施工・設備情報と結び付け、関係者間で共有するだけでなく、変更が工程や性能に与える影響を検証する活用が重要になる。今後は、バーチャルツインと実施設のデータをどこまで連携させ、建設後の運用や設備更新に継続利用できるかが注目される点でも参考事例と言えよう。

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