リコー

京王電鉄全69駅を360度空間データ化 
保全業務のDXを支援

 リコーは、京王電鉄の駅舎保全業務の高度化に向け、360度カメラ「RICOH THETA」とクラウドサービス「RICOH360」を活用し、京王電鉄全69駅の360度空間データを整備した。約9,500枚の360度画像を撮影し、駅舎のホームやコンコース、バックヤードを含めてデジタルアーカイブ化。設備保全の効率化や迅速な初動対応、人材育成を支援する。

 今回の取り組みでは、リコーの撮影代行サービスを活用し、ホームや改札口を含むコンコースのほか、一部の電気室やバックヤードまで撮影対象を拡大。駅舎では設備故障や事故などの突発事象が発生した際、現場状況を迅速かつ正確に把握することが重要となる。従来は担当者が現地へ赴いて状況を確認する必要があり、対応準備や判断に時間を要するケースも少なくなかった。

 360度空間データを活用することで、担当者は現場へ向かう前に駅構内の状況や設備配置を確認できるようになり、必要な工具や資機材を事前に準備した上で現場へ向かうことが可能になる。再訪問の削減や初動対応の迅速化など、保全業務全体の効率向上が期待される。

 全駅を統一形式でデジタル化したことで、図面や静止画だけでは把握しにくい空間的な位置関係も共有できるようになった。設備管理に関する情報共有の標準化が進み、担当者間で均質な保全業務を実施できる環境づくりにつながる。

 人材育成の面でも効果が見込まれる。若手職員は360度空間データを活用することで、駅舎構造や設備配置を現場に足を運ぶ前から立体的に理解でき、現場経験の少ない職員でも効率的な学習が可能となる。

 撮影した画像にはリコー独自のAI技術を活用したプライバシー保護機能を搭載。画像内の人物を顔だけでなく全身まで自動検知し、複数人が写り込んだ場合でも一括でぼかし処理を施すことで、実運用に適したデータ管理環境を実現している。

 同社は今後、今回整備した360度空間データを活用し、京王電鉄の保全業務を継続的に支援する方針だ。不具合発生時の記録や点検業務の標準化に加え、車両や軌道設備などへの適用拡大も視野に入れる。現場対応で蓄積される知見やノウハウをデジタルデータとして共有することで、技術継承や意思決定の高度化にもつなげていく考えだ。

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BIMedia目線ーー近年、建設・インフラ分野ではBIMやデジタルツイン、点群データなど3次元空間情報の活用が進んでいる。リコーの取り組みは360度空間データを鉄道インフラの維持管理へ本格活用する事例として注目される。設備管理のDXを推進するとともに、現場情報の共有や技術継承を支える新たなデジタル基盤として、今後の展開が期待される。

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