構造システムは、木造住宅の耐震診断・耐震補強計算ソフトウェア「HOUSE-DOC Ver.8」を先行公開した。日本建築防災協会による「2025年改訂版 木造住宅の耐震診断と補強方法」に対応し、必要耐力の算定方法や壁の評価機能などを見直した。これまでオプションだったN値計算も標準機能として搭載している点が特徴だ。

今回のバージョンアップでは、建物重量を実状に合わせて算定できる機能を強化した。改正建築基準法や省エネ基準への対応に伴い、断熱材や太陽光パネルなどの重量を考慮した精算算定に対応するものとなり、建物の条件をより細かく反映し、必要耐力を算出できるようにした。
計算機能では、階高に応じた必要耐力の割増や、筋かい耐力の低減、柱接合部の低減係数に関する計算式の見直しに対応した。一般診断法と精密診断法1で異なっていた垂れ壁・腰壁などの有開口壁の評価方法を統一し、診断方法に応じた算定方法を選択できるようにしている。
老朽度・劣化評価も強化した。精密診断法1では、面材などの経年劣化を個別に評価する指標を追加し、一般診断法の偏心率評価についても、偏心率などに応じた低減係数を用いる方式に変更し、精密診断法1との計算方法の統一を図った。
機能面では出隅柱を指定することで自動計算できるN値計算を標準搭載した。さらに必要耐力の算定に用いる面積の計算根拠を確認できる「床・屋根配置図」の出力機能を追加し、計算内容を視覚的に把握しやすくした。
HOUSE-DOC Ver.7のライセンス保有者は、追加料金なしでVer.8の先行公開版を利用できる。ただVer.8は現時点で日本建築防災協会によるプログラム評価を取得しておらず、同社は現在、評価取得に向けた申請準備を進めている。有効な評価を取得しているのはVer.7であり、Ver.8の評価が承認された場合は、有償のバージョンアップとして提供する予定だ。
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BIMedia目線ーー耐震診断では建物の重量や壁の仕様、接合部、経年劣化など、多様な条件を計算に反映する必要がある。今回の改訂は技術基準の更新に合わせて計算条件を見直すとともに、算定根拠を図面で確認できるようにする取り組みといえる。今後、既存住宅の改修や耐震補強を進めるうえでは建物の状態を適切に把握し、診断結果と補強計画の根拠を分かりやすく示すことが重要になる。計算の精緻化と結果の可視化は、診断業務の効率化だけでなく、設計者や建物所有者が判断の前提を共有するうえでも意味を持つ点で注目すべき動きだろう。
