openBIMを提唱する国際組織「buildingSMART International」(bSI)の東京サミットが6日に開幕した。会場となる東京都大田区のベルサール羽田空港は50カ国以上から訪れた参加者であふれた。ホスト国となる日本支部のbuildingSMART Japan(bSJ)は今年が設立30周年を迎え、まさに節目のサミットとなった。

bSI会長のエリック・ブジェヤ氏は「急速なAIの進化は建設業界に大きなインパクトを与える。openBIMの普及を進める中で、これは歓迎すべき動きであり、誰もが構造化されたデータにアクセスできるopenBIMはAIの強固な基盤になる。世界中のインフラプロジェクトの効率化に向けて着実にopenBIMの普及に力を注ぐ」とし、bSJが設立30年の節目を迎えたことを祝福するとともに「日本は航空や鉄道など運輸分野でもBIMの可能性を示してきた。openBIMのサミットにふさわしい国」と東京サミットの開催の意義を語り、開会を宣言した。

bSIの国際会議が日本で開催されるのは8年ぶりのことだ。登壇した武藤正樹bSJ代表理事は今年3月にポルトガルのポルトで開かれた会議からバトンと受ける形で「国を挙げてBIMに取り組む日本の底力を世界に発信したい」と入念な準備を進めてきた。壇上では「openBIMを強力に推進していくためにも、われわれbSJ自身がさらに強い組織になっていく」必要性を語り、今回の東京サミットを出発点にして「日本で展開している(建築分野の)BIMや(インフラ分野の)BIM/CIMを国際レベルまで引き上げる後押しをしていく」と力を込めた。

来賓として国土交通省の朝日健太郎国土交通副大臣は2040年度までに生産性を1・5倍に向上するi-Construction2・0を実現するため、現場のオートメーション化の1つとして取り組むデータ連携の意義について各国のbSI会員に説明した上で「国として推進するBIM/CIMのデータがその中核になる」ことを強調した。25年9月にドイツのベルリンで開かれたbSI国際会議で国土交通省など6者で構成する産官学チームが数量算出自動化の取り組みがインフラ設計部門の最優秀賞を獲得したことにも触れ、今後さらに「BIM/CIMを推進していく」ことを訴えた。

世界中で人口減少社会に入った国は日本を含め20カ国を超える。鶴田浩久国土交通審議官は「日本は課題先進国としてどう取り組むかが問われている。 デジタルデータに加え、AIの積極活用なによって業務の省人化をしていくことがより求められる。社会全体の枠組みで建設や運輸という規模の大きな分野におけるデジタル化の取り組みが鍵になる」とし、「エネルギー政策との連携強化を考えた場合でもBIM/CIMが社会インフラのデジタル基盤になってくる」と訴えた。

業界団体を代表して壇上に立った蓮輪賢治日本建設業連合会副会長は、日本がBIM/CIMを推進する目的について「企業の業務効率化や利益の追求のためだけではない。最も大切にしているのは現場を支えている協力会社や技能者にも多くのメリットを還元すること」と強調し、その手段の1つとして「誰もが自由に、円滑に情報へアクセスできる」openBIMの考え方に賛同する形で「それが現場の生産性を高め、魅力あるものづくりを実現し、企業の力強い成長に直結する」と力説した。

建築分野では4月からBIM図面審査が動き出し、29年4月からはIFCによるBIMデータ審査がスタートする。東京大学の和泉洋人特任教授は、この状況を各国のbSI会員に向けて「建築生産プロセスの中で、建築許可の部分にBIMを使うことでデータの共通化が図れ、それが建築や都市のDXに貢献していく」とし、国として取り組む建築分野のデジタル戦略の意義を強く訴えた。
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東京サミットの開会式は45分間にも及んだ。武藤bSJ代表理事が描いていたように、まさに「国を挙げて日本のBIMを世界に発信した」オープニングとなった。サミットのテーマは「openBIM:伝統の上に築き、未来を形作る」。会期は8日まで。残り2日間で専門ドメイン別の会議や、openBIMアワードなども発表される。7日夜にはbSJ設立30年の記念式典も開かれる。
