進化するArchSync

BIM図面審査のユーザー登録800件 
プロジェクトCDE利用も可能に

 BIM図面審査の確認申請用CDE(共通データ環境)として位置付けられている建築行政情報センター(ICBA)の「ArchSync(アークシンク)」が〝進化〟を始めた。BIM図面審査の受け皿となる確認申請用CDEして確認検査機関や特定行政庁を対象に運用が進む中で、7月1日からは民間企業向けのプロジェクトCDEとしても利用可能になった。ArchSyncはどのように進化しているか。ユーザー登録数も800件を超え、着実にBIM図面審査での活用が活発化する兆しが見えつつある。ICBAのBIM推進室を訪れ、現在のArchSyncを取り巻く状況を聞いた。

左から大門氏、岩城氏、萩原氏

登録審査は30機関超え、ArchSyncの利用実態把握へ

 建築確認の新たな制度としてBIM図面審査がスタートして3カ月が経過し、徐々に申請数が増え始めている。ICBAの岩城真BIM推進室調査役は「申請数の実態を反映しているものではないが、ArchSyncに登録するユーザーアカウント数で見れば現在800件規模に達している」と説明する。

 ArchSyncのユーザーアカウント数は、システム登録者の人数となり、審査側の担当者だけでなく、申請社側の担当者も含まれる。といっても単純に審査側と申請側をペアにした400件の審査が動いているという訳ではない。例えば審査機関が今後の受け入れ体制を構築する一環として、前もって全国の審査担当全員を登録するような動きも見られ、現時点では「アカウント数が単純に審査実態を明確に表すものではない」と付け加える。

 一方でArchSyncを利用登録した確認審査機関や特定行政庁は現時点で30機関を超えた。確認検査機関が全体の約4分の3を占め、特定行政庁は約4分の1となる。BIMediaの取材によると、4月末までにBIM図面審査による確認済証の交付件数は2件にとどまり、その後は少しずつではあるが、各地で交付の動きが出始めている状況だ。

 ICBAでは、四半期ごとにArchSyncの利用契約を結ぶ審査機関を対象にした実態調査に乗り出す計画だ。この間、審査実態がどうなのかを把握する一環として、主要確認検査機関へのヒアリングを進めてきた。萩原大地調査役は「審査状況はもちろん、審査建物の規模や用途、さらには使用されているBIMソフトの状況も含めて調べていきたい」と考えている。第一回目の7月調査では4月から6月までの第1四半期の実態を把握する。

ユーザー目線でArchSyncのアップデート

 ArchSyncのアップデートも、ICBAの重要な役割の1つだ。ArchSyncは確認申請用CDEとして「ビューイング」「コミュニケーション」「データ共有」「管理」の4機能で構成している。常にユーザーの声に耳を傾け、より使いやすいCDEとして改善していく。

 岩城氏は「これまでに100を超える要望があり、その中から優先順位の高いものから順次機能更新を進めていく」と説明する。7月5日のアップデートではPDF図面のビューア操作方法を利用者が自分好みに調整できるように設定したほか、PDFの切り替え設定をページ番号入力で対応できるように改善した。2、3カ月後にも機能強化のアップデートを予定している。

 ICBAが、ArchSyncの使い勝手向上に注力していく目的の1つには、7月からプロジェクトCDEとして申請者である設計事務所や建設会社などにもArchSyncの利用範囲を拡大する背景もある。

ArchSyncがプロジェクトCDEに

 「これからは申請者(設計者)が自らのプロジェクト管理にもArchSyncを利用できるようになる。これは中小規模の設計事務所や建設会社にとっては利用価値が高い動きとなるのではないか」と、BIM推進室の大門浩之調査役は考えている。

 BIM図面審査で、申請者はBIMデータから出力した「PDF図面」と「IFCデータ」に「誓約書」を加えた3点セットをArchSyncにアップロードして審査を受けるが、利用登録は審査機関に招待される形となり、これまでは申請者がArchSyncを利用できる枠組みにはなっていなかった。

 ICBAが7月からスタートした新サービスは、ArchSyncをプロジェクトCDEとしても利用できるものとなる。BIM図⾯審査を⾒据えて準備したCDE環境を、企画・設計・施⼯・維持管理といった審査前後のシーンでも利⽤してもらうことで、建築物のライフサイクルを通して、IFCファイルを含む建築物の様々な情報をクラウド上で一元管理し、関係者が同じデータを参照・共有できる仕組みを提供する。

 大手準大手クラスのゼネコンや組織設計事務所などは、BIMベンダーなどが提供するCDEプラットフォームを活用している。機能などは充実しているものの、高額であるため、中小規模の企業ではなかなか導入することはできない。

 ArchSyncのプロジェクトCDE利用料金は、1人当たりストレージ5ギガで年間1万5000円(税別)。データ保管量によっては追加が必要な場合も出てくるが、月換算で1250円という低価格に設定した。

 ICABAでは地方自治体の建築手続きや届け出業務などにもプロジェクトCDEの活用を呼び掛ける。建築ライフサイクルの基盤としての役割をArchSyncが⼀貫して担うことで、建築業界全体の効率化を後押しする。3人は「完全に同⼀のCDE環境を想定される利⽤シーンに合わせて提供することで、建築分野のDX推進を後押ししていきたい」と口を揃える。

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