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八千代エンジニヤリング子会社として新たな一歩 
ペーパレススタジオジャパン代表 勝目高行氏

 ペーパレススタジオジャパン(PLS)は、どのような成長戦略を描き、八千代エンジニヤリングの子会社となったのか。PLS社長の勝目高行氏は「AI×BIM/CIMを力強く推進していく上で、八千代エンジニヤリングの存在感や信頼感は大きな後押しになる。何よりわれわれが展開するAIの取り組みを高く評価してもらえたことがきっかけになった」と明かす。八千代エンジニヤリンググループの一員として新たな一歩を踏み出したPLSの目線を追った。

両社の初顔合わせは9月3日、八千代エンジニヤリングの高橋努社長(右)と面談した勝目社長

 日本のBIMをけん引するように十数年前からBIMコンサルティング会社として活動し、50社を超える導入支援実績をもつPLSが、AIや環境シミュレーション、デジタルファブリケーションなど15もの専門サービスで構成する総合的な建設DXコンサル会社へと転身を図ったのは2025年9月のことだ。

 「建設費高騰や少子高齢化など建設産業界を取り巻く環境の変化で潮目が変わった。BIMの導入支援に力を注いできたが、なかなか思い描く効果が出せず悩んでいた。海外に比べても日本のBIMは遅れを取っている。企業それぞれが強みを生かす『日本流を極める』ためにはAIの活用が欠かせない。もっと力強くAIを推進したい」。八千代エンジニヤリンググループ入りを決意した背景には「そうした強い思いがあった」と説明する。

 PLSは、1年半ほど前から社員にAIバディを配置する試みをスタートした。現在は従業員21人それぞれに専属AIバディ27体(うち8体はAIエージェント)を置く成長支援体制を確立している。勝目氏は「社員が専属AIバディとの協働を通じて『言われたことをやる』から『仕組みを設計し横展開する』という視座を持つようになり、仕事への姿勢が大きく変化し、それが業務の成果にもつながっている」と語る。

専用バディの面々

 専門的な作業を人に代わって取り組むAIエージェントと異なり、PLSのAIバディは対象となる社員ごとにカスタマイズされ、業務上の成長を軸に支援していくものとなる。「実は私にも専属AIバディがいて、意見を交わしながら業務の進め方や会社運営へのアドバイスを受けている」と付け加える。

 大手の総合建設コンサルタントとして国内外で幅広く事業展開する八千代エンジニヤリングは、国土交通省のBIM/CIMに先陣を切って対応してきたように、圧倒的な技術基盤を生かそうと、AIなど先端テクノロジーの活用にも積極的に取り組んでいる。「当社がAI活用の強化・拡充に貢献できればと考えている。実績を積んできたAIバディの成果を生かし、新しいタイプの人材育成についても支援できれば」と決意をにじませる。

 八千代エンジニヤリンググループの一員としてPLSは、どう強みを発揮していくか。「まだ具体的な話はしていないが、われわれの強みは小回りの効くスピード感であり、当社が先行してさまざまなテストを行い、その成功事例を共有していきたい。何より当社自身の立ち位置も大きく広がり、新たな役割として活動する道筋もつくれる」と期待をよせる。

 PLSは、ある地方自治体の大型工事で施工を担う地元建設会社4社構成JVの調整役としてプロジェクトに参画している。AIをフル活用した数百枚の図面チェックや工事リスク分析も含め、BIMコーディネーター的な役割として活動中。「ここでAI+BIMの新たな試みを全面展開しているように、建設プロジェクトにおける新たな調整役としての立ち位置を確立していきたい」と強調する。

 勝目氏は、八千代エンジニヤリンググループ入りしたことで地方自治体への道筋が広がった点にも新たな活路を見いだそうとしている。「技術者不足に悩む自治体に対してAIバディの提案も含め技術支援や技術者教育を後押しできる」。これまでPLSの事業パートナーはゼネコンや地域建設会社が中心だった。「これからは公共発注者への調整役としての機会を増やしていきたい。八千代エンジニヤリングの子会社としての強みを大いに発揮していく」と手応えを口にする。

 建設コンサルタント分野を主体とする八千代エンジニヤリングは建築部門も機能として持っている。「BIM導入支援実績で積み上げてきた当社の豊富なノウハウを生かし、建築分野での業務サポートなどの貢献もしていきたい」と考えている。

 八千代エンジニヤリングがPLSを子会社化したのは8月31日。翌日にプレス発表に踏み切った。近年のAI技術の劇的な進化は単なる効率化にとどまらず、これまでの業務の進め方そのものを大きく変えようとしている。これまで積極的に推進してきたAIの活用やDXをさらに進展させ、コンサルティングサービスの高度化と顧客への価値提供を実現するため、現場業務に直結したAIやデジタルの浸透と、それに伴走できる専門人材の確保が極めて重要であるとし、PLSを子会社として迎え入れたことを強調した。

 専属AIバディに加え、PLSが開発・運用する建設DXプラットフォーム「ArchiSymphony」についても高く評価し、土木や建築分野で深い知見をもつICTエンジニアが顧客の現場に密着してBIM/CIM導入を支援するPLSの「伴走型コンサルティングスタイル」の強みを、自社のインフラ技術やネットワークと組み合わせたシナジー創出の展開に期待を寄せた。

 勝目社長は「当社単独ではできなかった広域サービスを展開できる。これまで目標として位置付けてきた日本版DfMA(製造・組み立てを考慮した設計)の確立も加速していく。データと現場の結びつきによってフィジカルAIへの展開にもしっかりと取り組んでいく」と先を見据えている。

 建設コンサルタント分野の業務領域には「多くの可能性がある」と感じている。「小回りの効く機動力を生かし、さまざまな挑戦を繰り返し、そこで得たより効果が高い成果をグループに共有していく」。これまではゼネコンや建設会社に向けた活動が中心だった。これからは八千代エンジニヤリングの同業となる建設コンサルタント各社へのサービス展開もPLSの重要なミッションになる。

 両社の初顔合わせは9月3日、八千代エンジニヤリングの高橋努社長と面談した勝目社長はグループの一員としての前向きな思いをしっかりと伝えた。PLSの新たなステージの始まりは、八千代エンジニヤリングにとってもAIとより密に向き合う価値創造への一歩になる。両社の二人三脚は、歩調を合わせて進み始めた。

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