BIMコンサルティング会社のペーパレススタジオジャパン(東京都港区、勝目高行社長)が、15もの専門サービスを提供する建設DX(デジタルトランスフォーメーション)コンサルティング会社への転身を図った。50社を超える豊富なBIM導入のコンサル実績を誇る同社が事業スキームを再構築した背景とは何か。BIM導入の流れは着実に広がるものの、成果を出せずに悩む企業は少なくない。勝目社長は「企業それぞれが強みを生かした“日本流”を極める」ことの重要性を説く。同社の新たなコンサルティング展開を通して、建設業が向かうべき成長の道筋をひも解いた。

日本のBIMをけん引するように十数年前からBIMコンサルティング会社として活動してきた同社だが、日本の建設業が抱える根本的な構造課題によって「企業を思うような成果に導くことができない」という悔しさを感じることもあった。勝目氏はBIMが機能しない要因として「建築主の不在」「業界の環境整備不足」「設計と施工の分断」「施工BIMの限界」の四つのポイントを挙げる。そこには建設業の商習慣や文化に加え、企業としての組織上の課題も見え隠れしている。
海外では、建築主が提示したEIR(発注者情報要件)に基づき、BIMプロジェクトが進行する。日本の建築主はゼネコンなどの元請け企業に全てを頼る「受注者任せ」の傾向が強く、受注者はリアルタイムに建築主と合意形成しながらプロジェクトを進めたくても建築主側の対応不足で、もの決めの合意が遅れてしまうケースがある。そうした「建築主の不在」がBIMの導入効果を出し切れない要因の一つになっている。
日本の伝統的な重層下請け構造も「BIMの導入効果を妨げる課題」と指摘する。建設会社が社を挙げてBIMに取り組んでも、協力会社側がBIMに対応できないケースが多く、結果的に2次元と3次元のデータが混在する状況となり、BIMの運用をより複雑にしてしまう。「そうした環境整備が業界として進まない状況が、BIMの導入をより難しくしている」と分析する。

BIM導入の課題は、企業の組織体制にも起因する。特に「設計と施工の分断」が壁として立ちはだかる。同社は着工前までにデジタル上で建物を竣工させ、BIMモデル上で事前に不整合や不具合を取り除く流れをつくるが、設計から施工に情報が引き継がれる中で「情報の分断が起きる」ケースが少なくない。これを防ぐためには設計の範囲を実施設計後の生産設計までに後ろ倒しするか、基本設計までに前倒しする必要があるものの、縦割り意識によって設計と施工の組織的連携が進まないのが現状だ。
施工段階でBIMが思うように機能しない課題も広がっている。これは建築主の合意が遅れることで現場が後手に回ってしまい、設計変更に伴うBIMモデルの修正が間に合わない状況に陥るためだ。「施工者が苦労してモデルを作っても結果的に生かせずに終わってしまう典型的な例」と付け加えるように、建築主とのコミュニケーション不足でBIMのスキームが成立しない。
まさに日本は、受注者任せの流れが浸透しているため、建築主の合意形成が遅く、それによって本来のBIMの導入効果であるフロントローディング(業務の前倒し)効果を発揮できない課題を抱えている。「最も重要となる合意形成を後回しにすることは、BIMに真っ向から対立している構図になってしまう。それが根本的な日本の問題点」と、勝目氏は指摘する。
「BIMにこだわらず、あらゆる先端技術をオーケストレーションし、企業の強みを最大限に生かすことが何より重要だ」。そうした思いが新たなコンサルティング展開のきっかけになった。
記事は建設通信新聞からの転載です