新たなプロジェクト(PJ)管理の枠組みとして構築した「Sanken Construction System(SCS)」の基盤にオートデスクの建設クラウドプラットフォーム「Forma」を採用する三建設備工業だが、設計ツールは国産設備CADを活用している。DX推進本部DX推進部の日比俊介担当部長は「設計ツールにBIMソフト『Revit』を使えばFormaとの親和性は高くなるが、長年愛用しているツールは使い勝手が良く定着している。RevitがAI(人工知能)との連動性によって人が作図するという領域から進化する可能性があれば、われわれにとっても見逃せない動きになる」と考えている。

日比氏はDX推進部メンバーの高橋渉課長代理らとともに、8月に米国・シアトルで開かれたMEP(設備・配管・電気)設計ツール「Stratus」の国際イベントを視察した。世界各国から800人を超える参加者であふれた。Stratusはアドインを介してRevitと密接なデータ連携ができる。「今後、当社が資材製造のオフサイト化に力を注ぐ上で、Revitから製造の領域にシームレスにデータ連携できるStratusの効果を知りたいという思いがあった」と、参加の目的を明かす。
同社では4月からSCSが稼働したことに合わせ、全国で十数社と連携関係にある資材系商社とデータを共有し、自動で資材をプレカットして現場に搬入する試みをスタートさせた。2026年度には総量の20%を目標に掲げ、27年度には30%に引き上げる計画だ。現在は図面作成に連動して加工寸法が出る仕組みを確立しており、Forma上で商社と情報を連携することでリアルタイムに現場搬入を進めていく。
Formaには、資材の状態がどう変化したのかイベントの履歴データが蓄積される。「これが将来のAIの学習基盤になり、それが価値として生まれ変わる。いまはデータを吸い上げるための基盤づくりを進めている段階だ。AIとの連携は28年度から本格化する。新たなシステム開発の必要性も出てくるだろう。われわれDX推進部は新たなPJ管理の仕組みを成長させることが役割になるだけに、常に最適解を導いていく」と決意をにじませる。

DX推進本部長の小柳雄司常務執行役員は「急速に進化しているAIを、われわれのものづくりにどう組み込むことができるか、その判断が強く求められる時がいずれ来る。この2年間はアンテナをしっかりと張り巡らせ、社内外の動きを柔軟にキャッチしなければならない」と先を見据える。9月15日から17日まで、米国・ラスベガスで開かれるオートデスクの国際カンファレンス「Autodesk University(AU)」に日比氏ら5人を派遣するのも「世界の潮流に触れ、われわれの現在地を知るための情報収集の一環から」と期待を込める。
振り返れば、SCSの出発点となったのは3年前のAUであった。そして今回、5人はそれぞれが明確な目的を持ってAUに参加する。DX推進部の高橋渉課長代理は「DXの本質を学び、AIとの関連性を探りたい」、内田泰斗課長代理は「オートデスクの製品トレンドの最前線に触れたい」、森勇太主査は「現場でのデータ活用の最前線を知りたい」とそれぞれに意気込みを語る。
日比氏は3年前を思い出しながら、並々ならぬ決意を持って挑む。「当社が進むべき方向性が間違っていないか、そして私の中にあるその先の未来のイメージをより明確に位置付けたい」。三建設備工業のSCSは、さらなる進化に向け、力強い新たな一歩を踏み出そうとしている。
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