セブン‐イレブン・ジャパンでは、応用技術の駐車場自動レイアウトシステム「.one PL」をベースに開発した貸主様への出店計画書作成ツール「簡易CAD」の活用によって、図面作成の外注費用が大幅に軽減されている。これまで年間1000件を超える図面作成を外注していた。現在は店舗開発担当のリクルート・フィールド・カウンセラー(RFC)自身が簡易CADを使って図面作成を担っている。

西村仁志リクルートリサーチマネジャーは「既に図面作成の7割でRFCが簡易CADを使っている。外注経費の削減に加え、実は図面出しまで1週間かかっていたリードタイムも大幅に短縮できている。コスト削減の効果を検証した上で、二の矢として店舗内のレイアウト図面についても、より効率的に作成できるような検討もしていきたい」と先を見据えている。
簡易CADは、敷地条件から店舗と駐車場の配置をシュミレーションするものとなり、RFCが最良な土地を見つけた際、貸主様への出店交渉に向けて具体の店舗プランを作成するツールとなる。駐車場を確保できる土地を対象にしたシステムとなるが、都市部を中心に駐車場がない店舗候補も少なくない。RFCが店内レイアウト図も手軽に作成できるようになれば、さらなる業務の効率化が図れる。「まだ構想段階ではあるが、応用技術に相談を始めた」と明かす。
応用技術では、簡易CADのベースシステムとなる.one PLの販売展開を2019年9月からスタートしており、セブン‐イレブン・ジャパンは全国チェーンとしては3社目の顧客となる。DX事業統括コンサルティングサービスグループの永井啓介プロダクトスペシャリストは「当社はCADなどの設計ツールに関連した開発をなりわいにしている。建築や製造など様々な分野で図面の自動生成についてのノウハウを蓄積しており、より強みを生かせる」と手応えをつかんでいる。今回の簡易CADで具体化した駐車場部分の自動配置は「当社にとって新たな試みとなる部分もあった」と振り返る。

これまでの.one PLではアプリケーションをインストールするシステムを軸にしてきたが、今回はインターネット環境があればデバイスを問わず利用できるブラウザで動くCADを実現した。同グループの後藤真吾テクニカルマネージャーは「ブラウザ上で動作するCADシステムはまだ主流ではなく、新たな挑戦になった。現場目線を最優先し、自動配置後に手動で微調整できる機能も追加してきた」と説明する。
簡易CADでは、敷地を決めて店舗位置を決め、車が道路から店舗に入るための切り上げ部分を設定すると自動で駐車場の白線が引かれる設定となっている。西村氏は「実際の現場を見ると、白線位置を微調整した方が車の出し入れがしやすい部分もある。その時にRFCが簡易CAD上で簡単に微調整をできるように設定をしてもらった」と説明する

導入から1年が経過した。当初、簡易CADの導入率は5割と予測していたが、蓋を開けると7割まで拡大した。「これはまさにツールとしての使い勝手の良さが後押しになった。これまで外注していた作業を自社に取り込むことで以前より負担は増えたが、RFCが積極的に取り組む前向きさの部分も大きい」と感謝を口にする。
簡易CADは、全国各地を担当するRFCに加え、全国で既に営業中の店舗を管理している担当を含め数百人が活用している。デジタルツールに強い20代や30代の世代が4割ほどいる点も簡易CADの普及を後押しする。後藤氏は「われわれシステム開発会社にとっては良いシステムを作ってくれたと言われるよりも、導入率自体が計画を上回ることの方が励みになる」と強調する。
セブン‐イレブン・ジャパンでは、簡易CADを出発点にさらなるシステム開発に向けた構想を描いている。社内ではCAD図面から建築費の概算を把握できるシステム開発に舵を切るほか、将来的にはデジタル地図上から優良案件の可視化ができないかという可能性にも着目している。西村氏は「地図データを使って優良案件の可視化ができるかもしれない」との期待を持っている。
敷地から、周辺の交通量や人の動きなどを基に自動で賃料まではじき出せるようなシミュレーションが現実味を帯びれば、RFCのあり方も大きく変わり、より貸主様への対応に力を注ぐことができる。「当社はフランチャイズ制を敷いているだけに、人生をかけて加盟してくださるオーナー様に対して提示するシミュレーションの精度がとても大事になる」。簡易CADはコスト削減や生産性向上ツールではあるが、同社の目線は常に店舗を運営する経営者にしっかりと向けられている。
