コイズミ照明

基盤づくりに注力し照明BIMの進化へ 
この1年で社内意識も向上

 「BIMをやるための基盤づくりに注力した1年だった」と振り返るのは、コイズミ照明の橿棒直紀取締役市場開発本部長だ。照明メーカーの中で先陣を切ってBIMへの対応を強めてきた中で、顧客との「共創」に向けたきっかけづくりにBIMが効果を発揮し始めている。「当社の強みに育ってきたBIMをより強固にするために三つの取り組みを強化してきた」と、その狙いを明かす。

左から石田氏、能海氏、橿棒氏

 一つは照明設計部門のLCR(ライティング・クリエイティブ・ルーム)におけるBIM対応力の向上だ。既にLCR東京では設計者の半数がBIMソフト「Revit」を使いこなしている。橿棒氏は「実はこの1年でLCR大阪の設計者もBIMを学び、3割ほどがRevitを使えるようになった」と手応えを口にする。

 二つ目に取り組んだのは、全国5拠点に設置しているプロユーザー向けショールームであるライティングラボ(LAB)の強化だ。東京に続き、大阪にもBIMデータと実空間の検証活動を始めた。「BIMで設計するLCR、BIMを検証するLAB、そして製品のBIMデータ提供も今期にラインアップの大幅増加を予定しており、この三つの取り組みによって基盤を拡充し、BIMの提案をさらに進化させていく」と先を見据えている。

リアルとレンダリングでは差がない再現性が同社の強み

 BIM教育では、LCR東京第一設計室の能海尚也氏が講師役となり、照明設計に特化した独自のテキストを用意し、週一ペースでオンライン講習や勉強会を開いてきた。このほか共創関係にある船場のBIM講習を受講する設計担当や、オートデスク主催の内装向け勉強会に参加する管理者もあり、能海氏は「この1年でBIMへの前向きな意識が社内に広がり始めた」と実感している。

 同社では、BIMへの体制強化に並行して2次元設計についても業務効率化に向けた取り組みが進行中だ。石田秀樹市場開発本部首都圏統括部施設開発部兼LCR東京部長兼統括室長は「LCRが手掛ける設計の9割はまだ2次元CADを使っている。その業務を自動化することで生産効率を高め、ミス・ロスを防ぐとともに設計品質の向上につなげていく」と強調する。

 同社は、照明メーカーの先駆けとして空間提案への取り組みを進めてきた。橿棒氏は「実はLCRが発足して2026年が50年の節目に当たる」と説明する。LCR東京では29日まで企画展示「アソビゴコロ展」を開催中。6月22日から26日まではLCR大阪でも開催予定だ。「LCRの50年の歴史の中で、BIMに取り組んでまだ7年に過ぎないが、BIMによってLCRの設計密度は大きく変わった」と考えている。

 LCRではBIMやレンダリングの技術向上だけでなく、最近はパラメトリックデザインも積極的に取り入れている。石田氏は「顧客から高度な空間演出の要望が増えており、それらの技術が光空間のストーリーを広げていく照明提案づくりを実現する武器になっている」と強調する。同展でも「コンピュテーショナルデザインで描く未来の光」と題した展示を企画しており、「その最前線をぜひ体感してもらいたい」と呼び掛ける。

LCRは50年の節目を迎えた

 BIMの推進役として社内をけん引する能海氏は「この7年間でビジュアライズによる視覚表現の提案が増えた」と説明する。最近の照明設計ではRevitだけでなく、照明シミュレーションソフト「DIALux」などさまざまなツールを活用しながら「光の再現性を突き詰めている」と付け加える。

 橿棒氏は「BIMの照明に対する精度としてレンダリングと実物にほとんど差がない再現性の高さが当社の強み」と力を込める。LABでのBIM検証活動を東京に続き大阪にて開始したのも「西日本エリアでもより幅広く提案をしていく」狙いからだ。東京・大阪に分かれて組織していた市場開発統括部を4月から統合して本部に格上げし、より川上段階から空間イメージを営業提案する流れをさらに強める。

 顧客との密接な関係構築に向けた「共創」を事業コンセプトに掲げる市場開発統括本部にとって「BIMは顧客との親密度を高める」ツールになっている。「だからこそ1年間かけてBIMという強みを発揮するための基盤を整えてきた」と手応えをつかんでいる。

この記事は 建設通信新聞 特集「BIM2026」からの転載です

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