AI 活用の焦点は「導入すべきか否か」から「どのように成果を生み出せるか」に移り変わっているーーオートデスクが建築・エンジニアリング・建設・運用(AECO)分野や製造やメディア分野の実務者総勢2500人を対象に実施した2026年度のAI動向調査で、AIへの導入がより期待されている状況が浮き彫りになった。日本企業(調査対象152人)ではAI投資が拡大する一方、人材育成やデータ基盤整備が今後の競争力を左右する課題としてクローズアップされている。

調査によると、世界ではリーダー層の 98% が既に AI ツールを業務で利用し、84% が生産性向上を実感している。日本でも 80% の企業が AI 投資を拡大しているが、AI 教育が十分であると回答した企業は 36% にとどまっており、人材育成やデータ基盤整備が次の課題となっている。
世界では景況感が前年からおおむね横ばいとなる一方、日本では「将来のグローバル環境は 3 年前よりも不確実性が高まっている」と回答した割合が 66% となり、グローバル平均の59%を上回った。その一方で日本企業の 66% が新市場への参入を検討し、2025 年の 47% から大きく上昇した。この結果から、不確実性が高まる中でも、日本企業は新たな成長機会の獲得に向けた取り組みを強めていることがうかがえるとしている。
こうした成長機会を具体的な成果につなげる上で、AI やデジタル技術の重要性も高まっている。これらの技術は、単なる業務効率化の手段ではなく、新市場の開拓や新たな価値創出を支える経営戦略の一つとして位置付けられ始めている。

今回の調査では、不確実性が続く時代において、企業の競争力を左右するのは AI そのものへのアクセスではなく、AI を事業や業務プロセスへどのように組み込み、新たな価値創出へつなげられるかであることを示している。
こうした動きを背景に、日本企業でもAI への投資や活用が着実に進んでいる状況が浮き彫りになった。世界ではリーダー層の 98% が既に何らかの AI ツールを業務で利用しており、AI は「導入するかどうか」を議論する段階から、「どのように業務へ組み込み、成果につなげるか」を競う段階へ移行している。
日本では 80% の企業が前年より AI 投資を拡大し、AI アシスタントツールやチャットボット、デザインプログラム、CAD ソフトウェアなど、AI を搭載したツールの利用が前年から大きく伸びている。AI ツールを導入すること自体が競争優位になる時代は終わりつつあり、今後は AI を業務プロセスや意思決定へどのように組み込み、継続的な成果へ結び付けられるかが重要になる。
実際に、AI を積極的に業務へ統合している企業では、意思決定や成果物の品質、イノベーションなど幅広い分野で他社を上回る成果が確認されており、AI 活用の「質」が競争力を左右し始めているとオートデスクは分析している。
AI 活用が進む中、その効果を実感する企業も増えている。世界では、生産性向上(84%)、イノベーション創出(77%)、意思決定の改善(65%)など、AI が企業活動にプラスの影響を与えていると回答した割合が前年を上回った。日本でも、生産性向上(71%)、イノベーション創出(55%)、意思決定の改善(40%)のすべてで前年を上回り、AI の活用が企業活動へ着実に浸透していることがわかった。

AI 活用への期待は、日本企業でも着実に高まっている。日本では「AI ツールを習得すれば、業界で活躍するチャンスを広げられる」と回答した割合が 79%、「自社の経営陣が AI 導入を推進している」が 71%、「AI 導入にはスピード感が必要」が 74% となり、多くの企業が AI 活用の必要性を認識している。
一方で「現段階で十分な AI トレーニングが用意されている」と回答した割合は 36% にとどまり、グローバル平均(59%)を大きく下回りました。こうした AI 導入への意欲に対し、実際に AI を使いこなすための教育環境との間には、依然として大きなギャップが見られる。AI を競争力へ転換するためには人材育成に加え、AI を活用しやすいデータ基盤や業務プロセスを整備し、組織全体で AI を活用できる環境づくりが重要であると示されている。
実際に日本企業が AI 導入における課題として挙げた項目では、「AI 人材・スキル不足」(49%)、「規制・コンプライアンス」(46%)、「既存システムとの統合」(45%)が上位となっており、AI 活用を拡大するためには、人材と組織の両面での準備が求められている状況であることが浮き彫りになった。
今後の投資対象では、生成AIや業務自動化AIに続き、「AIエージェント」が主要分野として注目されている。日本では58%が「1年以内にAIエージェントを利用する」と回答しており、世界平均の59%とほぼ同水準だった。AIエージェントは、複数のシステムやデータを横断して業務全体を支援する技術として期待されており、AIが単なる作業支援ツールから、組織全体のワークフローを担う存在へ進化しつつあることが示された。
オートデスク日本法人の中西智行代表取締役社長は「AI活用は導入から成果創出のフェーズへ移行している。今後は人材育成やデータ基盤整備に加え、AIを業務プロセスへ組み込み、組織全体で活用していくことが重要になる」とコメントしている。
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BIMedia目線ーー企業にとってはBIMやCDE(共通データ環境)、点群、デジタルツインなどのデータ基盤を整備できれば、AIやAIエージェントの効果を最大限に発揮できる素地が整う。今後はAIを導入した企業が評価されるのではなく、AIを業務プロセスへ組み込み、生産性向上や品質向上につなげた企業が競争力を高める時代になることは間違いなさそうだ。