スペースデータは、新宿駅とその周辺エリアを対象に、3D都市モデルと人流シミュレーションを統合した人流デジタルツイン「People Flow Simulator」を公開した。BIMと3D都市モデルを組み合わせ、駅構内や地下街、周辺ビルを含む立体的な歩行者空間を再現し、防災や都市開発における人流分析への活用を目指す。

このシステムは、宇宙AIプラットフォーム「SpaceBrain」のレジリエンス領域「Geo-Resilience」の新たなデモンストレーションとして開発されたもので、新宿駅の駅構内や地下街、周辺ビルの各フロアを一体的な3D都市空間として再現し、その中を数万規模の歩行者エージェントが移動する様子を可視化する。
利用者は屋上階から地下4階までフロアを切り替えながら、人の流れや密度、移動方向を階層ごとに確認できる。公開されたデモ版では、公開統計の傾向をもとに生成した推計人流データを利用しており、実際の人流を示すものではないとしている。
従来の人流分析は地上空間を対象としたものが中心で、地下街や駅構内、建物内部を含めた立体的な人流を都市スケールで把握することは難しかった。建物単位ではBIMを活用した屋内シミュレーションが進んでいるものの、都市全体を扱うGISや3D都市モデルとの連携は十分ではなかった。
同社は、BIM、屋内地図、3D都市モデルを統合することで、駅と街をまたぐ歩行者の流れを一つの画面で把握できる環境を実現した。都市レベルのデジタルツインと建物内部の情報を連携させた点が大きな特徴となる。
人流シミュレーションでは、新宿駅周辺の実際の歩行動線に基づく17本の主要ルートを設定し、数万体規模の歩行者エージェントが移動する様子を再現。平常時に加え、駅出入口の閉鎖や地下空間の被害発生など複数のシナリオを設定でき、人流の集中や迂回状況を可視化できる。
国土交通省の3D都市モデル「PLATEAU」の建築物・地下街データや国土地理院の標高データ、屋内地図などを重ね合わせることで、地上・地下・建物内部を一体的に表示した。地下表示時には地表を半透明化し、地下構造を立体的に確認できるほか、断面表示やワイヤーフレーム表示にも対応する。SNS由来の実測人流サンプルを重ねて表示し、シミュレーション結果との比較も可能としている。
描画にはWebGLベースの3D地図エンジンを採用し、数万体規模の歩行者をリアルタイムに映し出す。位置情報や密度をフレームごとに更新しながら平滑化処理を行うことで、自然な人流表現を実現した。
同社は今後、通信キャリアの人口動態データや交通系ICカードの利用データなど実測データとの連携を進め、人流デジタルツインの高精度化を図る方針だ。将来的には駅や地下街、大規模施設における混雑対策やイベント運営、防災訓練、避難計画、都市開発での歩行者動線の検討などへの活用を想定している。
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BIMedia目線ーースペースデータの取り組みは建物内部を扱うBIMと都市全体を対象とするデジタルツインを融合し、「駅と街をまたぐ人の流れ」を可視化する新たなユースケースとして、スマートシティや都市レジリエンス分野での活用が期待される。PLATEAUの活用例としても注目されそうだ。