ONESTRUCTIONが、建設分野に特化した生成AIの開発・活用に向け、3つの取り組みを相次いで発表した。建設業務における生成AIの性能を比較する「Construction AI Leaderboard」の公開、BIM生成AIエージェント「Ishigaki-BIM(β)」のテスト参加者募集、建設特化型日本語AIモデル「Ishigaki-AEC」のAPI提供である。同社は経済産業省とNEDOが推進する生成AI開発力強化プロジェクト「GENIAC」の第3期・第4期に採択され、建設ドメインに特化したAI基盤モデル「Ishigaki」シリーズを開発している。3つの発表はこうした開発成果を建設業界で活用するための取り組みと位置付けられる。連載として3つの取り組みを紹介していく。最終となる第3回目はIshigaki-AECのAPI提供について紹介する。

GENIAC-PRIZE応募企業向けに無償提供
同社は建設分野に特化した日本語AIモデル「Ishigaki-AEC」のAPI提供を、経済産業省とNEDOが実施する懸賞金活用型プログラム「GENIAC-PRIZE 2026」の応募企業向けにスタートした。建設分野の専門知識を学習したAIモデルをAPI経由で利用できる環境を整え、応募企業による建設業務向けAIシステムの開発や検証を支援することが目的だ。
建設業では人手不足を背景にAI活用への期待が高まっている。公共工事の標準仕様書や関連法令など、専門的な知識を必要とする業務では、汎用AIモデルだけでは十分な精度を得られないケースもある。同社は、こうした課題に対応するため、建設ドメインの知識を学習させたIshigaki-AECをAPIとして提供する。
Ishigaki-AECは、同社が開発する建設業特化型AI基盤モデル「Ishigaki」シリーズの一つとなる。日本の公共工事に関する標準仕様書や法令を追加学習した日本語モデルで、モデルの重みを公開する「公開版」と、API経由で利用する「API版」の2つの形態を用意している。
公開版の「Ishigaki-AEC-9B」は、Hugging Faceでモデルの重みなどを公開しており、ライセンスはCC BY 4.0。日本の公共建築・土木工事の標準仕様書をもとに作成した社内ベンチマーク(4択・981問)では正答率56.07%を記録した。ベースモデルの43.32%と比べ、12.75ポイント向上したという。
今回のAPI版は、OpenAI互換の形式で提供し、利用企業ごとにAPIキーを発行する。提供モデルは公開版の9Bとは異なるサイズとなる場合があり、GENIAC-PRIZEの期間中は無償範囲で利用できる。API基盤にはさくらインターネットの協力により、GPUクラウド「高火力 VRT」を採用した。NVIDIA H100を活用した計算環境で、建設分野のAI開発を支える。
建設分野でAIを実務に導入するには、文章生成や一般的な質問応答だけでなく、仕様書や法令、BIMに関する専門知識をどこまで扱えるかが重要になる。今回の試みは、専門モデルを自社で一から構築することなく、建設業務向けのAIシステム開発に利用できる環境を提供するものだ。
特にOpenAI互換APIとして提供することで、既存のAIアプリケーションや開発環境との接続を進めやすくなる。今後は、仕様書の確認や施工計画、BIM情報の整理など、具体的な業務でどのような成果につながるかが焦点となる。公開ベンチマークで示された性能が、実際の業務データや複雑な判断を伴う場面でどこまで再現されるかも注目したい。
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