オートデスクは、AIを活用して現実世界のデザインやものづくりを担う次世代人材の育成に向け、今後3年間で3億5000万ドルを投資する。2028年末までに学生・教育者へのプロフェッショナル向け技術の無償提供を新たに6000万人へ拡大するほか、約100万人を対象にAIを活用したワークフローのトレーニングを実施し、20万人以上の業界認定資格取得を支援する。

背景にあるのが、AIに対する利用経験と実務での活用能力のギャップだ。同社の実態調査レポート「2026 AI Jobs Report」によると、ChatGPTやClaudeなど日常的なAIツールを自信を持って使えると回答した学生は82%に達した一方、将来の職業で使うAIツールを使いこなす準備ができていると感じる学生は36%にとどまった。80%がオンラインで仕事に必要なスキルを独学している一方、インターンシップなど実社会での経験を得ている学生は5人に1人未満だった。
同社はこのギャップへの対応として教育機関との連携を強化する。学校のカリキュラムや学位プログラムへの自社技術の組み込みに加え、「Autodesk Learning Partner」のネットワークを拡大。BIMを含むデジタル技術だけでなく、配管、溶接、空調などの技能職も含め、AIやデジタル技術を実務で活用できる人材の育成を進める。
AI人材への需要そのものも拡大している。レポートでは建築、エンジニアリング、建設、製造、デザインなど「Design and Make」分野のAI関連求人が2年間で147%増加した。AI関連職では、AIを開発する技術職だけでなく、デザインやコミュニケーション、リーダーシップなど、AIを実務へ適用するための能力も求められている。
AIの普及が若い世代をデジタル分野だけに向かわせているわけではないことも示された。学生の66%が「ものをつくる」「手を動かす」仕事を希望しており、AI時代の仕事として、デジタル技術と現実のものづくりを組み合わせる職種への関心が高まっているという。
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BIMedia目線ーーオートデスクはAI人材の対象をAI技術者だけに限定していない。AI関連求人ではデザインが主要なスキルとして位置付けられ、BIMを含む専門分野の知識とAIを組み合わせる人材の重要性が高まっている。建設分野でも、AIが図面を作成する、数量を算出するといった個別作業だけでなく、BIMや現場データを理解したうえでAIを業務に組み込む能力が求められるようになる。人材育成の対象にBIMや技能職まで含めていることは、「AIを使える人」から「専門業務の中でAIを使いこなせる人」へ、建設DX人材の定義が変わりつつあることを示している。今回の大型投資は、単なる教育支援というより、AI×専門職の人材基盤を世界規模で広げる取り組みとして読み取ることができる。
