太陽工業は、竹中工務店が施工を担当した名古屋市瑞穂公園陸上競技場「パロマ瑞穂スタジアム」の膜屋根工事で、BIMを活用して140種類・140枚に及ぶ膜パネルを設計し、製造から現場施工まで各工程に必要となる図面の出力を半自動化・自動化し、作業工数を大幅に短縮した。

スタジアムは約3万人を収容する全席屋根付きの競技場で、「空と森と大地の陸上競技場」を外観コンセプトに整備された。屋根は空に浮かぶ雲をイメージした有機的な形状とし、観客席上部からスタジアム外周までを膜で覆っている。膜構造面積は約1万8600㎡にも達する。
膜屋根は、観客席側とスタジアム外周側の双方にせり出す構造で「熱狂の渦」を表現した渦巻き状の小梁を採用している。梁の寸法や勾配が緩やかに変化するため、140枚の膜パネルはすべて形状が異なる。膜同士をつなぐ反付け位置を小梁の位置に合わせることで、スタンドから見上げた際に白い膜が一体的につながって見える意匠も実現した。
こうした複雑な形状の膜屋根の設計にBIMを活用した。3次元モデルに属性情報を付加して管理し、設計段階だけでなく、製造や施工に必要な図面の出力にも対応し、工程ごとにプログラムを構築することで、設計、生産、製造部門の作業を効率化した。
膜屋根にはPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)をコーティングしたガラス繊維膜「AP-450」を採用した。膜構造の透光性を生かし、屋根で観客席を覆いながら自然光を柔らかく取り込めるほか、開放的なコンコースの自然通風と組み合わせることで、観戦環境の快適性にも配慮している。
スタジアムは2026年4月22日に供用を開始しており、きょう9月19日から愛知県・名古屋市で開催されるスポーツ大会のメイン会場として使用される。
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BIMedia目線ーーBIMを膜パネルの設計から製造、施工までつなぐデータ基盤として活用した。特に140枚すべてが異なる形状となる膜屋根では、図面作成や製造データへの展開を人手だけで行うと、設計変更への対応や情報の転記にも大きな負荷がかかる。3Dモデルを起点に各工程の図面出力を自動化することで、複雑な形状を持つ建築物でもデータを連続的に利用できる。膜構造のような特殊工種での取り組みは、BIMの製造連携(DfMA)や建設DXの可能性を示す事例といえる。
