日建設計

「みどりのものさし」で社会価値の定量評価 
人流・SNSなど組み合わせ影響可視化

 日建設計は、都市のみどりが人の行動や体験に与える影響を評価・可視化する手法「みどりのものさし」の社会価値編を策定した。人流や緑視率、来訪者、SNSなどのデータを組み合わせ、「交流・滞在の増加」「ウェルビーイングの向上」「まちの回遊性促進」「地域魅力度の向上」「QOLの向上」の5指標から、都市のみどりが生み出す社会価値を定量的に捉える。

 みどりのものさしは、都市のみどりの価値を環境・社会・経済の3側面から評価する取り組み。2024年に発表した環境価値編では、温室効果ガスの削減や空気の浄化、温熱環境の改善、生物多様性の促進、雨水流出の抑制などを評価しており、社会価値編は第2弾となる。

 社会価値編では、人の行動や体験に現れる変化に着目した。人流データから滞在や回遊の状況を分析するほか、緑視率と滞在状況の関係、来訪者の居住地、SNS上の公開投稿などを組み合わせて評価する。都市計画やまちづくりにおける、みどりの整備・運営に関する意思決定への活用を想定している。

 同社は今回、都市公園「うめきた公園」を中心とする「グラングリーン大阪」エリアに適用した。分析では公園内の複数エリアで休憩や食事、会話、遊びなどの多様な滞在行動を確認し、緑視率30%以上のエリアでは平日・休日ともに滞在者が多い傾向がみられた。

 公園を起点とした回遊範囲が梅田周辺へ広がったほか、来訪者の居住地は開業前の28都道府県から開業後には46都道府県へ拡大した。SNSデータ1万1965件の分析では、癒しや家族・友人との時間、自然とのふれあい、シビックプライドなど、QOL向上につながり得るテーマも抽出された。

 今後は「経済価値編」の策定にも取り組み、経済活動や不動産価値、生産性、イノベーションなどへの効果を評価する考え。環境・社会・経済の3側面から都市のみどりの価値を総合的に捉え、みどりのものさし手法の確立を目指す。

日建設計のプレスリリースはこちら

BIMedia目線ーー都市空間の価値を「つくった後」にデータで検証する仕組みとして興味深い。建築や都市開発では、3Dモデルや人流、環境データなどを組み合わせることで、設計段階のシミュレーションだけでなく、完成後の利用状況まで評価できる。BIMやデジタルツインも、形状を再現するだけでなく、実際の人の行動や環境データを重ねることで、都市空間の改善につなげる運用型データ基盤へ発展する可能性もある。

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