三建設備工業が構築した「Sanken Construction System(SCS)」について、DX推進本部DX推進部の日比俊介担当部長は「われわれが本当に管理したい部分の情報をあえて切り分けて定義した」と説明する。オートデスクの建設クラウドプラットフォーム「Forma」を基盤にしたSCSでは、ユーザーに対して次に何をすべきかの指示が示される仕掛けになっている。これまでの業務の流れを継続したフォルダ構成にして、現場が混乱しないように情報共有の進め方を従来の流れに合わせて設定した。

「各拠点がこれまで進めていた業務の流れを変えないことを前提にしたが、われわれDX推進部としてきちんと管理したい情報については明確に定義して進めている」。具体的には、フォルダ構成の8割ほどに当たる作業領域の部分は各拠点や現場がやりやすいようにフォルダを構成し、残り2割ほどは設計図書、製品仕様、施工図など建設工事で必要不可欠な管理情報の部分となる。「ここはデータベース(DB)を構築する上で欠かせない構造化されたデータとなる重要な情報になるだけに、しっかりとターゲットを決めて情報を蓄積するようにした」と強調する。
海外プロジェクト(PJ)では、厳格な命名規則に従ってデータが管理されている。日本では業務や案件ごとにフォルダ階層を作成して、作業やデータを管理する手法が一般化している。新システムのSCSを導入する上で「情報の出し入れを明確に導いていく必要があり、その基盤としてFormaが関係者をつなぐプラットフォームとして有効に機能している」と付け加える。
PJリーダーを担うDX推進部の高橋渉課長代理は「これからは現場担当者の思いをどれだけくみ取ることができるかが重要になる」と考えている。現場担当の役割は作業を安全に、遅れのないよう進めていくことである。DX推進部では資材DBを構築する意味合いやその価値について説明をしているが、現場では取り組んでいる目の前の仕事がどれだけ効率化されるのかが関心事になる。だからこそ「将来の価値を理解してもらい、納得してもらうこともわれわれの役割」と強調する。

DX推進部では、社内外に向けて新たなPJ管理の在り方を周知する一環として、マーケティング・広報となる担当3人を配置した。日比氏は「SCSは社として利益を確保する成長戦略に他ならないが、資材DBがもたらす価値を現場担当の一人ひとりに伝えることが難しい。広報担当を介して情報発信することが組織の理解度を高める重要な手段になる」と考えている。
SCSは、同社にどのような価値をもたらすか。日比氏は「これからが新たなステージの始まりとなる。27年度からは蓄積したデータを活用していくフェーズに入り、急速な進化を見せるAI(人工知能)との連携も推し進めていく」と力強く語る。見据えているのは情報管理の主体を『ヒト』から『モノ』に移行することで「再現性のあるプロセスを実現していく」と、その到達点を見据える。
DX推進部メンバーに全幅の信頼を寄せるDX推進本部長の小柳雄司常務執行役員は「SCSによってPJ管理における属人化をかなり排除できる。社として蓄積してきたノウハウを誰が取り組んでも活用できる仕組みが実現できる効果は大きい。蓄積したデータを今後は新たな価値として育てていくことがテーマになる」と手応えを口にする。
