東京大学発AIスタートアップの燈は、秋田県横手市に本社を置くモーターメーカーのアスターと資本業務提携契約を締結した。燈がアスターの第三者割当増資を引き受け、経営にも参画する。AI技術とモーターなどのハードウェア技術を融合し、製造現場の高度化と次世代製品の開発を進める。フィジカリルAIへの展開につなげることが狙い。

アスターは、板状のアルミニウムや銅を積層する独自技術「ASTERCOIL」を持ち、小型・軽量化と高出力・高効率を両立したモーターやパワーユニットを開発・生産している。物流用ドローンやロボティクス、産業機械などへの展開を進めており、今後の需要拡大に対応する量産体制の強化が課題となっていた。
今回の提携では、アスターの製造拠点に燈が開発するシミュレーション基盤「メルキオール」を導入する。デジタルツイン上で工場レイアウトや作業動線を検証・最適化するとともに、センサーや設備から取得した稼働データを蓄積し、生産効率や品質の継続的な向上を目指す。
さらに製造現場で蓄積したデータをAIの学習に活用し、現実世界の設備や機器を動的に制御するフィジカルAIの構築を進める。将来的には、高度化したAIをハイブリッドドローンや発電機器、ヒューマノイドロボットなどの実機へ組み込み、実機から得られたデータを再びAIの高度化に利用する循環型の仕組みを構築する考えだ。
燈は2026年1月に三菱電機から50億円の資金調達を実施し、AIが製造現場を自律的に最適化する「次世代産業OS」の開発を進めている。今回のアスターとの提携では、AI企業自身が製造現場に入り込み、ハードウェアとAIを一体で開発するモデルを目指す。両社は秋田・横手を次世代モーターの量産拠点として整備し、日本の製造技術とAIを組み合わせた「AIネイティブな製造業」の構築を目指す。
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BIMedia目線ーー注目したいのは、AIを「業務を支援するソフト」ではなく、工場や機械そのものを動かす技術として位置付けている点だ。デジタルツインで工場を再現し、現場データをAIに学習させ、その結果を実際の設備や製品へ反映する。この循環が実現すれば、製造業のDXは単なる効率化から、現場そのものが継続的に学習・進化する仕組みへ変わる可能性がある。建設分野でも、BIM/CIMや施工データをAIと組み合わせ、現場の判断や機械制御までつなげる「フィジカルAI」の動きが今後さらに広がりそうだ。
