大成建設は、過去の施工実績を学習した機械学習AIによるシールドマシン自動運転技術を開発した。国土交通省九州地方整備局が発注する鹿児島東西道路シールド工事で実証を行い、熟練オペレーターに頼ることなく、高精度な方向制御と安定した掘進を実現した。担い手不足が深刻化する中で施工品質の平準化や省人化を支える技術として期待される。

シールド工法によるトンネル工事では、掘削時の余掘りやマシンの蛇行、セグメントの破損を防ぐため、熟練オペレーターがジャッキの出力を細かく調整しながら、設計どおりの線形を維持して掘進を進めている。しかし、曲線区間や勾配区間、近接施工など条件が複雑な現場では高度な経験が求められ、技能者不足への対応が大きな課題となっていた。
開発した技術は、シールドマシンに搭載された各種センサーから取得する方向や姿勢、中折れ角、土水圧、総推力などのデータをAIがリアルタイムで解析し、ジャッキの最適な出力配分を自動算出するもので、掘進状況を1リングごとに評価しながら学習を繰り返し、その結果を直ちに次の制御へ反映する自律型の制御システムとなっている。
AIには、これまで施工した20現場、延長約3万3,000メートルに及ぶシールド工事の実施工データを学習させており、水平・垂直方向それぞれ400パターンの運転モデルを構築した。施工時には現場条件に最も適したモデルを自動選択するとともに、施工状況に応じて逐次学習することで、地盤や機械状態の変化にも柔軟に対応する。

実証は、外径11.34メートル、延長2.3キロメートルの泥土圧シールド工法による「鹿児島東西道路シールド工事」で実施した。半径700メートルの曲線区間や1.47%の上り勾配という条件下でも、水平・垂直方向とも目標線形に高精度で追従し、安定した自動掘進を実現した。AIが推奨するジャッキ力点位置の予測誤差は目標値である半径の4%以内、到達位置の予測誤差も3ミリ以内に収まり、高い制御性能を確認した。
同社は今後、曲線施工や重要構造物近接施工など難条件のシールド工事への適用を進めるとともに、切羽圧や排土量、裏込め注入の最適制御まで含めた「総合自動運転」の実現を目指す。AIを活用した施工の自動化をさらに発展させ、トンネル工事の安全性向上と省人化、施工品質のさらなる高度化につなげていく。
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