特集 BIM教育と資格(3)

日本建設情報技術センター 
BIM/CIM管理技士

 国土交通省のBIM/CIM原則化を背景に、2025年2月に日本建設情報技術センター(JCITC)の「BIM/CIM管理技士」認定資格が国土交通省登録資格に認定された。BIM/CIM唯一の国内資格とあって、建設コンサルタントやゼネコンからの注目度も高い。社員に取得させるべきか悩んでいる企業も多そうだ。BIM/CIM管理技士の取得メリットは何か。担当者の説明を参考に、BIMedia独自の目線から考察してみた。

調整役の三波さん

 「登録資格への認定はわれわれの悲願だった」。BIM/CIM管理技士の資格試験を担当するJCITC調整役の三波義明さんは感慨深そうに語る。国交省が直轄事業にBIM/CIMを原則適用したのは2023年4月。当初、JCITCでは22年度から初級BIM/CIM技術者養成講座をスタートし、その合格者である「初級BIM/CIM技術者資格」で登録資格を狙っていただけに関係者にとっては喜びもひとしおだった。

 国土交通省登録資格は「公共工事に関する調査及び設計等の品質確保に資する技術者資格」と位置付けられ、発注時に技術評価の加点対象になるなどのメリットがある。4月の時点で維持管理分野で307資格、計画・調査・設計分野で101資格、そして横断型分野で3資格が登録されている。BIM/CIM管理技士は、24年2月に新設された横断型分野の中で「データ管理」の位置づけとして、その有効性が認められた。

 当初の初級BIM/CIM技術者資格は、BIM/CIM関連ツールの基本操作を習得する2日間のハンズオン研修の受講者に対して筆記試験を実施するスタイルであったため、オペレーター資格的な捉え方をされていた。そこでBIM/CIMをマネジメントできる資格者を認定する新たな枠組みとして2024年4月に創設したのが、BIM/CIM管理技士認定資格だった。

 初年度は受験者380人に対して130人が合格し、翌25年度の第2回は登録資格認定後の開催とあって、受験者が3倍近くの1300人に増え、合格者数も320人に達した。合格率は3割前後の比較的狭き門。試験問題は選択式となり、全50問で100点満点中60点以上が合格となる。試験サンプルをみてもわかるように、5~6つの記述の中から1つを選択するスタイルになり、じっくり読み込む必要がある。試験時間の1時間半では「足りない」と感じる受験者もあり、時間配分が合否のポイントになりそうだ。

正解は設問4が「6」、設問5が「1」

 試験問題は、JCITC内に5、6人の外部委員による試験作成ワーキンググループを組織し、委員が一つひとつ設問を作り上げている。適切でないものを1つ選ばせるため、設問づくりでは答えがあいまいにならないように注意している。三波さんは「難易度を下げたくないが、あまり攻めすぎると難し過ぎてしまう。最終的事務局サイドも言い回しなどを細かく確認しており、設問づくりには十分の時間をかけている」と説明する。

 設問は毎年、最新版が発行されている参考図書『BIM/CIM概論』(発行・BimCim普及推進センター)の中から出題されている。著書の一人で国交省のBIM/CIM推進委員会委員長の矢吹信喜東京都市大特任教授は「この本を読み込み内容をしっかりと理解していれば必ず合格できる」と呼び掛ける。本気で合格を目指すなら最新版の購入は不可欠になるだろう。

 受験者の顔ぶれはどうか。建設コンサルタントが8割ほどを占め、ゼネコンや建設会社は2割ほどという。1、2%台であるが国交省など発注者側も受験しているという。

受験者の区分をみると、建設コンサルタントからの受験が多いだけに設計、測量、調査の3区分で6割近くに達する。施工は1割に留まる状況だ。ちなみに年齢層別では45~49歳の層がもっとも多く、30~34歳の層が続く。35~44歳の層は最前線で先頭に立つ技術者が多く、時間がつくりにくいこともあり、それが受験数に反映しているとも考えられる。

 ではBIM/CIM管理技士の取得メリットはどうか。他の登録資格では発注時の参加要件や技術評価の加点対象になるケースがあるものの、現時点でBIM/CIM管理技士にはそうした明確なインセンティブがない。ただ、資格者の声を集めると、発注者協議などの場で資格者であることが説得力となり、物事を優位に進められるきっかけにはなっているようだ。検討業務の場などでBIM/CIMの専門性を持った技術者であると認識されたケースや、建設プロセス全体におけるICT専門技術者として理解してもらえた声もあり、間接的ながら取得効果が聞こえてくる。

 とはいえ、BIM/CIM関連業務における管理技術者の要件設定など直接的なインセンティブを願う資格者は多い。受・発注者双方の必須資格と位置付け、建設DX推進の共通基盤となることを求める声もある。BIM/CIMの原則適用が4年目に入り、27年度からは3次元モデルの契約図書化やBIM/CIM積算も本格的に動き出す。BIM/CIMを始め建設デジタルの流れが急速に広がる中で、BIM/CIM管理技士の存在意義もより高まりを見せるだけに、参加資格や技術評価の加点対象になるなどのメリットが与えられることを期待してしまう。

 三波さんは「ぜひ、発注者にも挑戦してもらいたい」と呼び掛ける。資格者の中には、インブラ分野で建設プロセス全体における専門性とICT関連の専門性を併せ持つ資格がこれまでなかったことから取得したとの資格者も少なくない。横断型の登録資格として位置付けられている点でも、インフラDXの流れが広がる中で、事業全体を統括する発注者にとっても意義のある資格になってきそうだ。

 2026年度試験は全国5会場で6月28日に行われる。参加申し込みは5月8日まで。受験者数は前年と同じく1300人規模に達する見通し。25年度試験では10人以上受験した建設コンサルが4社に達し、10人近く受験したゼネコンも3、4社あった。このように社を挙げて優先して取り組む動きも目立ち始めている。BIM/CIM推進部門を置く企業では社員のスキルアップの一環としても挑戦してはどうだろうか。発注者で初の合格者が出てくるかも注目すべきポイントだ。

特集 BIM 教育と資格 

(1)グラフィソフト「BIMマネージャープログラム

(2)コンピュータ教育振興協会「BIM利用技術者試験

(3)日本建設情報技術センター「BIM/CIM管理技士

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