日積サーベイのBIM対応積算ソフト『HEΛIOΣ』が、ゴーレムが提供する建物GHG(温室効果ガス)排出量を自動算定する『GORLEM 排出量算定』との密接なデータ連携を実現する。12月にリリースする最新HEΛIOΣ2027の新機能として実装される。2028年度から制度化される建築物ライフサイクルカーボン(LCCO2)評価への対応を見据えた連携となり、これをきっかけに両社はシステム連携をより強固にしていく。両社に連携の狙いを聞いた。

積算は図面やモデルから資材の数量を出し、その算出根拠を内訳書や見積書として整理する。GHG排出量を算定する場合、原単位コードと内訳書の細目を紐付けした上で数量単位を換算する必要があり、積算データと仕分けコードの結び付けがGHG算定のポイントになる。
内訳書の項目ごとにコードの仕分けを行うため、これまではコードをどう割り当てればいいか戸惑う場面もあった。新たに実装する連携機能はHEΛIOΣで作成した内訳書からコード仕分けしたデータを、GORLEM 排出量算定側に取り込み、仕分けルールが難しい部分についてはAIが補完する流れになり、算定作業をより効率化できる。
HEΛIOΣユーザーの4割を占める積算事務所の中には近年、ゼネコンなどからGHG排出量算定を依頼されるケースが徐々に増えつつある。HEΛIOΣ2025では住友林業の建物用GHG見える化ソフト『One Click LCA』、HEΛIOΣ2026では住宅・建築SDGs推進センターのGHG排出量の算定ツール「J―CAT」との連携機能を拡充してきた。

日積サーベイの生島淳平取締役システム開発部部長は「義務化されるLCCO2評価制度に伴う積算事務所への業容拡大を後押ししていきたいと機能強化を進めてきた。ゴーレムとの連携は当社が目指している積算データの価値創出につながる大きな一歩になる」と思いを込める。
出会いは1年ほど前にさかのぼる。生島氏が東京・有明で25年12月に開かれた展示会「建設DX展」に出展していたゴーレムのブースに足を運んだことがきっかけとなった。以前から積算データの価値を最大限に引き出す上で「内訳書の情報をどう利活用していくかが重要」と考えていた。将来に向けて情報交換をしたいとブースを訪れ、そこでゴーレムの野村大輔代表取締役に思いを伝えたことが出発点となった。
2カ月後には両社で具体的な話し合いがスタートした。ゴーレムの田中賢二ビジネス本部部長は「お互いの技術のすり合わせを進める中で当初からGHG排出量の算定が問題なくできるとの手応えを得ていた」と振り返る。
22年に創業したゴーレムは、ゼネコンやデベロッパー向けに建物ライフサイクルのGHG排出量や長期修繕コストなどを自動算定する建設データプラットフォームの提供に加え、個別システム開発やコンサルティングを手がける。GORLEM PLATFORMは8つのアプリケーションで構成しており、HEΛIOΣと連携するGORLEM排出量算定は大手・準大手ゼネコンを軸に活用が広がっている。
田中氏は「仕分けのルールが企業ごと異なるため、データが不足する部分はAIを使って推論を立てながら仕分けを進める枠組みになる。HEΛIOΣユーザーにとってもGORLEM排出量算定を活用することでより円滑に作業を進めることができる」と強調する。
例えば約5000行もの見積もり内訳を対象にGHG排出量を算定する場合、これまでは慣れた担当者でも仕分け作業などに数日かかることがあった。「これを数十分程度に短縮でき、最終確認を含めても半日程度あれば一連の作業を完了できる」と、GORLEM排出量算定の効果を説明する。
生島氏は「仕分けルールの違いだけでなく、同じ材料でもゼネコン各社の基準や考え方に違いがあるため、これまで積算担当者だけでは妥当なコードを判断しにくい状況があった。HEΛIOΣとGORLEM排出量算定の連携が整うことでより円滑に作業を進められるようになる」と付け加える。

9月に国土交通省が建築GX・DX推進の補助事業に新設した「LCCO2評価実施型」の補助対象ソフトウェアとして、HEΛIOΣ、GORLEM排出量算定がともに認定されたことも、連携機能を実装する上で「大きな後押しになる」と両氏は口を揃える。
日積サーベイが11月5日と12日に開く最新HEΛIOΣ2027のバージョンアップ説明会では、GORLEM排出量算定との連携に向けた新プランを発表する計画だ。生島氏は「積算事務所に対してGHG排出量算定業務への道筋を提示できる意義は大きい」と語り、田中氏は「われわれにとっても積算事務所への導入が広がる期待値は高い」と強調する。
両社は、12月2日から4日まで開かれる展示会「建設DX展」に共同ブースを出展する予定だ。出会いから1年、その関係性はより強い結びつきを持ち始めている。両氏は「お互いのユーザーがお互いの製品をより深く知れる機会にしたい」と考えている。
この記事は 建設通信新聞 からの転載です
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