クラスター

フィジカルAIとデジタルツインの実装解説 
加藤CEOが新著を刊行

 バーチャル空間プラットフォーム「cluster」を開発・運営するクラスターは、代表取締役CEOの加藤直人氏が著した書籍『フィジカルAIとデジタルツイン』を、集英社から刊行する。製造・建設・不動産などの産業分野でデジタルツインを手がける立場から、フィジカルAIの仕組みや実用化に向けた課題、日本が目指すべき戦略を解説するもので、デジタル空間で学習・検証した成果を現実の環境に適用する「Sim2Real(シミュレーションから現実への展開)」に焦点を当てる

 フィジカルAIは、現実世界の状況を認識し、ロボットなどの機械を通じて物理空間で動作するAI技術を指す。人手不足への対応や自動化への期待を背景に、製造、物流、建設などでの活用が議論されている。一方、AIを実際の現場で機能させるには、学習データの確保や安全性の検証、導入コストに見合う効果の実現などが課題となる。

 同書ではSim2Realに焦点を当て、デジタルツイン上で想定どおりに動作するAIでも、現実の設備や環境では条件の違いによって期待した結果が得られない場合があり、こうした差を埋めるための技術的な課題だけでなく、事業として成立させるための経営上の判断についても論じる。

 日本のロボット産業が国際競争の中でどのような強みを発揮できるかも考察しており、著者は日本の「SF的想像力」を資源と位置づけ、具体的な戦略を提示する。AIやロボットの普及に伴って人間の役割がどう変化するかについても取り上げ、機械の事故や誤動作に対して人間が責任を負うあり方を「責任のスポンジ」という概念で説明する。

 同社は、BIM・CAD・点群データから3D空間を自動生成する技術や、IoTセンサーによるリアルタイムの環境可視化など、デジタルツイン関連の技術開発を進めている。さらに、デジタル空間で自律的に行動するAIエージェントの基盤「AI Agent Flex」を展開し、シミュレーションと現実のロボット・デバイスを結び付けることを目指している。

 書籍は、フィジカルAIの基礎からデータとシミュレーション、関連企業の取り組み、日本の将来戦略までを扱う。価格は税込み1,650円。11月26日に発売する。AIやロボットの技術動向を把握したいビジネスパーソンに加え、製造業・建設業などで自動化や省人化への投資を検討する経営者、事業企画・DX推進担当者を対象としている。

クラスターのプレスリリースはこちら

BIMedia目線ーー建設分野ではBIMモデルや点群データを使って建物・現場をデジタル空間に再現し、施工計画や作業手順の検討に活用する取り組みが進んでいる。フィジカルAIが現場で働くロボットや機械に広がれば、デジタルツインは形状や状態を可視化するだけでなく、AIの学習や動作検証を支える環境としての役割も担うことになる。ただしシミュレーションでの成功が、そのまま実環境での安全性や生産性を保証するわけではない。現場ごとの環境差、例外的な状況への対応、導入・運用コスト、事故時の責任分担など、技術以外の検討も欠かせない。デジタルツインとフィジカルAIを実務に取り入れるうえでは技術の可能性だけでなく、どの作業に適用すれば効果が得られるのかを見極め、検証と運用の仕組みを整えることが重要になる。

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